多品種・少量生産になると、手間暇ばかりがかかって、利益が出ないのではないだろうか? 実際、さいちの惣菜の原価率は約60%で、40%程度と言われるスーパーのそれよりも高い。にもかかわらず、利益がしっかり出ている。

佐藤社長:そうそう、私も最初は(多品種だと利益が出ないと)そう思った。いまでも、そう思わないわけではありません。

 ところが、商売というのは売れないことには商いにならないでしょう。たとえば、出版社がある本を1000冊売れればいいと考えたとすると、そこが損益分岐点ですね。1000冊売れれば、たとえ利益は細くても経営は成り立つ。

 だから、私も肉じゃがをつくったら、「全部売ってください」と、従業員に言っているんです。そうしないと、「お給料減らしますよ」と。実際には、そういうことはできませんから、全部売ってくれないと困る。そのためには、「真心を持って100%売れる商品をつくるのが、絶対条件ですよ」と、言っています。うちではロス(廃棄)はゼロとして原価率を計算しています。いくら原価率を低く想定しても、売れ残りが出てしまえば、その分、原価率は上がってしまいます。 

イトーヨーカ堂創業者・伊藤雅俊氏はじめ、<br />全国600社超から視察研修依頼が殺到!<br />人口4700人の温泉町で1日2万個のおはぎを売る<br />小さなスーパー「さいち」の秘密(前編)1個105円の「秋保おはぎ」。お彼岸の日には2万個が売れる。

 さいちでは、お惣菜が売れ残っていれば、平日夕方5時45分から、惣菜全品半額セールを行う。時間と様子を見ながら、1品1品値下げのシールを貼り替えて行く普通のスーパーとはやり方が違う。5時45分にしたのは、まさに主婦が夕食を準備するストライクゾーンの時間帯だから。それに人手もかからない。そしてすべてを売り切る。もちろん利益が出る理由はそれだけではない。

澄子専務:お惣菜づくりは失敗することもあるので、出来上がったものを見て、このくらいの値段でと、高めに設定することもあります。それでも、「おいしかった」と満足感があると、お客様には、値段のことは忘れていただけるのです。