報道では、イギリス国民はEU離脱の決定を後悔し、国民投票のやり直しを要求していると伝えられている。
しかし株式市場の反応は、これとまったく異なる。イギリスの株価は、離脱直後の落ち込みから回復し、現在、年初来最高値を記録している。
他方で、大陸諸国の株価は6月前半より低い水準だ。
これは、少なくとも経済的に見る限り、離脱はイギリス経済にとって有利で、大陸ヨーロッパに不利であることを示している。
年初来最高値を示した
イギリスの株価指数
イギリスの株価指数(FTSE100)の動向は、図表1に示すとおりだ。EU離脱決定直後の6月24日に下落したが、すぐに回復し、現在は年初来最高値になっている。
これは、EU離脱がイギリスの経済にとって問題をもたらすのではなく、逆にイギリス経済にとって有利な決定であったことを意味する。EUを離脱して経済的自由を取り戻すことによって、イギリス経済がさらに発展するという見通しの反映と解釈できる。
これに対して、ドイツの株価指数(DAX)は、やはり離脱直後に下落してその後回復したが、回復力は強くない。現在の水準は、6月前半までの水準に比べると、かなり低い。
◆図表1:イギリス株価とドイツ株価の推移
図には示していないが、フランスもドイツと似た傾向だ。
実は、6月24日の株価指数の下落率で見ても、イギリスのFTSE100の下落率が一番低く、3.2%だった。ドイツDAXは6.8%、フランスCACは8%、そしてスペインIBEXは12.4%、イタリアMIBが12.5%もの下落率だった。
これは、イギリスの経済が混乱し、イギリスが衰退に向かうというマスメディアの報道とは逆の傾向を示している。マーケットはイギリスのEU離脱を支持しているのだ。
株価に見られる動向は、イギリスのEU離脱が、イギリス経済にとって有利で、大陸ヨーロッパ諸国にとって不利であることを明確に表している。