組織から「大きなパワー」を引き出す方法
そのうえで、絶対にはずしてはならない鉄則があります。
それは、「組織は使わせていただくもの」という謙虚なスタンスです。自分が「おもしろい!」「価値がある!」と確信するゼロイチを、組織というリソースを使ってチャレンジさせていただいているのです。そのことに対する感謝の気持ちを絶対に忘れてはならない。組織人として当たり前のことかもしれませんが、このスタンスを徹底できるかどうかがゼロイチの成否を決するとさえ思っています。
なかなか社内の協力体制が得られないことを嘆くのではなく、どうすれば遠巻きに眺めている人々を応援団にできるかを考える。他部署の抵抗にあったときに腹を立てるのではなく、どうすれば相手の心に火をつけるような提案ができるかを考える。このような思考法が重要なのです。
そして、味方を増やすことができたとき、組織は大きなパワーを僕たちに与えてくれます。
ベンチャーではとても用意できないような予算や設備を使わせてもらうことができますし、他部署の専門家の知見によってアイデアをさらに磨き上げることもできます。会社がもつブランド力や信頼は、対外的な折衝を力強く後押ししてくれます。他部署が社外にもつネットワークも紹介してもらえるでしょう。しかも、ゼロイチに失敗したからといって、クビになるわけでもありません。だからこそ、勇気をもって果敢にチャレンジできるという一面もあります。
これらは、サラリーマンだからこそ享受できる、きわめて大きなメリットです。そのパワーを、僕はトヨタやソフトバンクで痛感してきました。皆さんにも、ぜひ、そのメリットを最大限に活かしていただきたいと願っています。