7月10日に投開票が行われる参議院選挙は、安倍首相にとっては「憲法改正」実現に向けた一歩であり、野党にとっては改憲を阻止するという、重要な意味合いがある。各党の思惑がせめぎあうなか、投開票日の迫った選挙情勢を、政界の動向に詳しいジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。
安倍首相の悲願「憲法改正」なるか
選挙区は地方を中心に野党が攻勢
投開票まであと数日、大詰めとなった参議院選挙。安倍晋三首相にとっては任期中最後の参院選であり、「憲法改正」の悲願達成をかけた大勝負でもある。
「安倍首相の掲げる『憲法改正』を実現するには、衆参でそれぞれ3分の2の賛成が必要です。そのため、自民にとって参院選の勝敗ラインは『改憲勢力で3分の2』に達すること。今度の参院選は改憲勢力3分の2を取って憲法改正へと繋げたい自民と、改正に反対する野党勢力との攻防、という構図になっています」
安倍首相は参院選で勝つために、オバマ米大統領の広島訪問実現や一億総活躍社会プランを打ち出すなど、これまで様々な布石を打ってきた。
しかし、舛添要一・前東京都知事の政治資金問題が自民党批判に飛び火するなど、支持率アップは筋書き通りとはいかなかったようだ。そうした背景もあって、自民が目標としている「改憲勢力3分の2以上」は微妙なラインとなっている。
「参院選全体の情勢としては、今のところ、自民が勝敗ラインにギリギリ届くか否かといったところ。選挙区では野党が追い上げていますが、比例区は自民が優勢です」
野党は比例区で統一名簿を作り自民に対抗する動きも見せていたが、それも実現せず、結局各党がバラバラに出馬。そのため、比例では相対的に大政党である自民党が有利になっているという。
「参院選の比例区は得票数の多い人から順番に議席が割り振られるため、どの候補者も自分で票を取りにいかなくてはいけません。衆院選のように予め決められた名簿の順に当選するわけではないので、自民党の候補にとっては、敵は陣内にあり、といったところでしょうか」