例えば香港やシンガポールの場合、所得税率は16%前後である。マレーシアのタックスヘイブンエリアに法人設立して、クアラルプールに居住した場合などは、所得税をゼロにするスキームも実現可能だ。日本からの距離や外国語に支障がなければモナコ(所得税ゼロ)という選択もある。もちろん、「非居住者化」対策は必要である。

パーマネントトラベラー(永遠の旅人)とは?

 最後に少し変わった角度からも見てみたい。

 どこの国でも、所得税が課税されるのは、「その国の居住者」が対象となる。では、反対にどこの国の居住者にもならなければどうなるか。当然にどこの国も課税できないことになる。仮に5ヵ月毎に国から国を渡り歩いたとする。183日ルールで居住者判定する国もあるので、無難に半年未満で移動すればセーフになる。

 ただ、実際の問題として、どこの国からも課税されない可能性がある反面、いろんな国から課税されるリスクもある。日本国籍者が世界中をフラフラしてたら、国税庁は課税しようと狙うだろう。仮に2ヵ国以上の国で課税された場合、租税条約締結国間であれば二重課税は回避できるが、租税条約がない数ヵ国から課税されたなんてことになると、目も当てられない。五重課税なんてのもあったりして。

 パーマネントトラベラーは、事業から退いた資産家が行うならわかるが、所得を稼得している現役が行うには現実的ではないと思う。もっとも、IT系の新富裕層ならイケるのかも知れないが。