昨年度“タスポ特需”で好調だったコンビニ業界。しかし、2007年度までコンビニの既存店売上高は8年連続で前年比割れとなっており、現在の店舗数は全国約42000店と飽和状態に近づきつつある。同じ商品が置いてあるというだけでは、もはや生き残ることはできない。
そこで各社が取り組んでいるのが、プライベートブランド(PB)をはじめとした自社オリジナル商品の充実だ。“タスポ効果”が剥げ落ちる今月以降、コンビニ各社は、どのようなオリジナル商品開発で生き残りを賭けていくのだろうか。

「高級アイスクリーム」を低価格で
セブンがハーゲンダッツの牙城にも攻め入る

 7月も中盤に差しかかり、アイスクリームが美味しい季節が訪れている。セブン-イレブンにとってアイスクリームは、「会社帰りなどにちょっと寄って買っていく人が多くなり、売上げは冬の2倍~3倍にも高まる」(浅海健男・セブン-イレブン・ジャパン商品本部マーチャンダイザー)夏商戦に欠かせない商品だ。「ただ、最近はその差も縮まってきており、冬も売れる」(浅海氏)という。

アイスクリームの売り場面積が「小売店として日本一」のセブン-イレブン

 セブン-イレブンは、アイスクリームの売り場面積が「小売店として日本一(チェーン全店の合計面積)で、市場シェアも高い」(浅海氏)。日本アイスクリーム協会によれば、08年度のアイスクリームの売上高は、前年比3.8%増。セブン-イレブンも同様、好調な伸びを示している。

 しかし課題もあった。箱に数本入った「マルチパックタイプ」だけで見ると、シェアが小さいのだ。

 アイスクリームは、スーパーでは安売りの対象になりやすい。4割引、5割引も珍しくなく、「すぐに食べたい」という需要の少ないマルチパックは、コンビニでは分が悪い。にもかかわらず、マルチパックは形態別の売上高が最も高く、売上全体の28.7%を占める主力タイプだ。そこでセブン-イレブンは、セブン&アイ・ホールディングス全体として積極開発しているプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」で、スーパーの安値との価格差を解消するマルチパックを投入。買い置き需要に訴え、主力タイプの取り込みを図っている。

 セブンプレミアムのアイスクリーム戦略は、マルチパックの投入だけにとどまらない。7月20日には、高価格帯のカップアイスの品質に軸を合わせた「セブンプレミアムプレミアムアイスクリームバニラ」を新たに発売する。価格は188円で、このラインとしては破格の安値だ。