第二の特徴は、国際主義の精神で他国との関係を強化することである。革命時代はプロレタリア国際主義によって他の国の革命運動を支援したが、現在はそうした「国際主義」ではなく、経済協力を主とした「協力・ウィンウィン」外交を展開しており、それは「新しい国際主義」といえよう。さらに習総書記は毛沢東と同様に近隣諸国との関係を重視し、「真、実、親、誠」の理念の下、周辺諸国との関係を強化している。

 習総書記は2014年頃から「運命共同体」という言葉をよく使うようになった。「一帯一路」の建設はその理念を体現したものであり、沿線各国との政治上・経済上のつながりを強化している。これも「新しい国際主義」といえる。

 第三の特徴は、「衝突せず対抗しない、尊重しあう、協力・ウィンウィン」を旨とする「新型大国間関係」の構築に努めるが、大国にはきちんとものを言うという点である。毛時代は時代的制約から大国を「主要な敵」と位置づけ対決姿勢をとったが、全面的衝突は避けていた。習政権も大国にはものを言うが、基本的に衝突・対抗しない態度である。

 第四の特徴は、「社会主義は平和愛好勢力」という考えを継承し、帝国主義勢力への「抑止力」として一定の軍備が必要であるということである。中国は「平和的発展」を堅持しているが、それは他国を侵略するというものではなく、「防御的国防」である。昨年9月3日の抗日戦争勝利70周年記念パレードについて、何のために行ったかとよく言われているが、「社会主義勢力は平和勢力」という旧来のイデオロギーの影響を受け、現在なおも存在する強権政治に対処するためなのではと筆者は見ている。

 また、毛沢東の外交も習時代のそれも「底線」を設けており、それを超えた場合は、猛然と反撃してくる。毛時代の「底線」は社会主義の理論に反すること、革命の放棄であり、習時代のそれは「核心的利益」の侵害である。

「底線」を越えた者に対する闘争は2012年の尖閣諸島問題、先般大きく報道されている南シナ海問題はその例である。この特徴はかつての国際共産主義運動の論争の進め方とよく似ている。

 ここ最近の習政権の動きを見ていると、「ものを言う外交」になっている。改革開放が始まった当時は、割合抑制的な態度であったが、現在は総合的国力が向上したしたことから大国としての「自信」がついてきたことが大きな要因だろう。また国内に向けても国民の支持を得るため「強い中国共産党」を見せる必要がある。毛沢東時代は総合国力が高いとは言えなかったが、独自の革命を成功させた社会主義大国のひとつとして、大国にものを言った。「大国としての自信」という点では、毛沢東と習近平総書記の外交は重なるところがある。

中ソ論争の思考からまだ脱却してない?
大国と対峙する際の中国共産党の「闘争」

 中国共産党は国際協調主義的外交を展開する一方で、中国が設定する「核心的利益」に関わる問題、「底線」に触れたときの反撃は非常に激しい。その闘い方は毛時代に繰り広げられた中ソ論争のそれに似ており、現在もその影響が残っていると筆者は見ている。