一方、介護休業の場合、対象者は働き盛りの40~50代が中心であり、男性も多い。この世代は、部課長クラスの管理職、あるいは職場のリーダー的な存在であるために、企業側はどうしても「長く休まれたら困る」という考えが強いのです。

 それを無理に休んだらどうなるか。考えてみてください。

 40~50代は、企業にとって重要な世代である一方で、人件費が高く、業績が悪くなったりすれば、真っ先にリストラ対象になりやすい世代です。休みを重ねるうちに、職場の上司から「もう無理だな」と見切りをつけられてしまいます。大企業の場合、代わりは他にもたくさんいるのですから。

 実際、先にお話ししたように職場に復帰した後、「左遷された」「降格された」とポストを失う方が少なくありません。結果的に、屈辱に絶えきれなくて退職してしまう人も多いです。

――皆が忙しいなか、自分が介護のためとはいえ、休業や休暇を取得することに後ろめたさがあるというのも一因でしょうか。

 特に男性はそうですね。企業としては独自に手厚い介護休業の制度を設けて世間に良い顔を見せますが、実際に現場を任されている上司の立場では、理屈では理解していても、なかなか「はい、わかりました」とは言いにくい雰囲気なんだろうと思います。

 それが職場の人たちは理解できるだけに、介護休業を切り出せずにいるのでしょう。

 復帰した時に「周囲の視線がかなり冷たかった」という声も多いですね。もともと介護の問題を抱えている人は、そうした職場の雰囲気には敏感です。老親のことで朝、会社に電話して休暇願いを伝えると、「またかよ」みたいな反応が多く、どうしても気にしてしまう。

 それに加え、介護休業4ヵ月目から無給になるということも、利用者が増えない大きな原因だと思います。

 他方、女性の場合は、男性よりは遥かに積極的に制度を利用していますが、壊れていく親に対して感情的になりやすいように感じます。

休業でも自宅で仕事を強いられるケースも
度重なる介護のための休み

――介護休業や介護休暇は一度では済まずに、何度も取得するケースが多いようですが、それはなぜでしょうか。

 親の介護が必要となった場合、多くの方は介護休業や介護休暇を介護のための体制づくりに費やします。その多くは、受け入れ先となる施設探しです。その施設は、入居費用の安い特別養護老人ホーム(特養)を希望する方が圧倒的に多いのです。