「自主性」を持たざるを得ない環境に子どもを入れる
安渕 そういったことに加えて、子どものころに自主性を持たざるを得ない環境があると、さらにプラスになると思います。うちの息子は、私の転勤もあって、3歳でイギリスの幼稚園に入り、6歳でアメリカの小学校に移ったんですけど、そのときにはもう、自分で電話してアポをとって友だちの家に遊びに行くようになっていました(笑)。
息子はネイティブの子どもじゃないから、そうやって積極的に動かないと、友だちとも遊べなかったんでしょう。これには親である私のほうがびっくりしました。でもそれが一つの成功体験となり、次へと結び付いていくわけなんですよ。
ムーギー 安渕さんの場合、子ども時代にリーダーシップを伸ばすために役立ったと思える経験は、どのようなものがおありですか?
安渕 私が経験してよかったなと思うのはボーイスカウトですね。ボーイスカウトはイギリスから始まったもので、少年たちに集団生活の規律とリーダーシップを教える活動。私は11歳から7年間、ボーイスカウトに入っていました。そこでは、5人ぐらいのチームを組んで、例えば、みんなで荷物を背負ってキャンプ地まで一定時間で行く、という任務が課せられるんです。
そうすると、体の大きい人が重たい荷物を持って、みんなで遅れる子をサポートして、と話し合ったり決めたりしながら全員で目的地に時間までにたどり着こうとする。その過程がチームワークをつくるし、リーダーシップにもつながったりしてすごくいいなと思ったので、自分の息子もボストンでカブスカウト(ボーイスカウトの中の、小学校2~5年生を対象にしたもの)に入れたんです。
ムーギー この連載でいろんなリーダーの方にインタビューをしてても、「子どものときに野球をやったことで、集団生活とリーダーシップを学んだ」とか、「子どものときにヨーロッパで暮らしたことが良かった」などとおっしゃっています。主体性やチームワークを学べるのみならず、環境が変わるたびに適応力が育ち、かつ外から日本を相対的に見られるようになるんでしょうね。