カシュガルが中国西部の世界的な物流センターに

中国が確保したパキスタン港湾運営権の戦略的重要性グワダル港の委譲は中国・パキスタン経済回廊が「一帯一路」戦略のテンプレートとして軌道に乗り始めたことを意味している

 もし中国がグワダル港に海軍基地でも建設すれば、中国のエネルギーや貿易の海上輸送上の安全は大幅にアップし、将来的に中国の遠洋艦隊がインド洋に入って国際水路の安全を守るのに大いに寄与することが可能となる。中国・パキスタン両国は中国西部に通じる陸上パイプラインをこの地に建設しようと考えている。そうなれば、中国にとっては中東から輸入する石油をマラッカ海峡を避けて運ぶ近道が増えることになり、中国のエネルギーの安全と安定を確保することができる。

 また、中国海軍がスエズ運河・地中海・アデン湾一帯での海賊討伐に加わる際に、グワダル港は大型艦隊に対して補給・修理を行う後方支援基地となる。さらに言うまでもなく、これによって中国の遠洋艦隊はインド洋やペルシャ湾を出入りするための拠点を得ることになる。

 その意味で同港は、中国の西に向けた戦略の方向性とその行方とは切っても切り離せない関係にある。パキスタンとイランを貫く鉄道大動脈を固めさえすれば、中国内陸部からヨーロッパやアフリカに輸送する貨物も、列車でまず上海に運んでから船で遠回りするのではなく、列車で直接グワダルまで運んで船に積み替えることができ、輸送距離を80%近く縮められる。

 中国・パキスタン経済回廊によって、新疆ウイグル自治区のカシュガルが中国内陸部と中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカを結ぶ交通の要衝となった暁には、カシュガルは中国西部の世界的な物流センターとなる。将来的に中国には、「南部に香港、東部に上海、西部にカシュガル」と三者が鼎立する新たな経済の構図が形成されるだろう、と性急に将来の青写真を描く人も登場している。