金融危機そしてビッグスリー救済問題への対応に追われ、このところ防戦一方のイメージが強いオバマ政権だが、選挙時の公約である“グリーンニューディール”政策の実行を怠っているわけではない。筆者は、米国発のグリーン革命は正真正銘の本物であると思う。環境技術の革新に長けた日本企業が、この千載一遇の商機を逃す手はない。
欧米では、この2年ほど、「クリーンテクノロジー」や「グリーンビジネス」の分野に巨額の資金が流れ込み、新規企業の設立が相次いでいる。ところが、日本では、環境ビジネスに対する投資が盛り上がっている状況はいっこうに観察されない。
残念ながら、日本で、環境やエネルギー分野にフォーカスした投資ファンドを運用しているファンドマネージャーは、筆者の知る限り4社しかない(プライベートエクイティ=PEの分野で)。しかも、そのうちの3つのファンドはこの半年以内にようやく組成されたばかりのものだ。
また、ファンド金額も合計で300億円にすぎない。2008年一年間で、アメリカでは8000億円もの大金が、PEおよびVCによって環境・エネルギー分野に投じられたことに比べると、悲しいぐらいの差があると言えよう。
ただ、改めて指摘するまでもないが、資金の流れに関するこの彼我の差は、日米の技術格差と表裏一体ではない。それどころか、日本は環境技術の宝庫であり、企業レベルでも個人レベルでも環境対応は他国よりもはるか昔から取り組まれてきたテーマだ。資金流の格差を嘆く前に、日本の役割分担を現実的に解釈するならば、それは世界への環境技術の輸出ということであろう(穿った見方をすれば、国内の需要がすでに飽和気味であるからだが)。
この単純明快な事実に着目したが故か、最近増えているのが、時流や商機を読むに長けた海外、特に米国のプレーヤーたちによる日本国内でのセミナーや商談会である。
米国発グリーン革命の波及効果で
アジアの環境ビジネスも激変へ
たとえば、2月6日には、米国の大手法律事務所のホワイト&ケースが東京で「Looking Over The Horizon」と題したクリーンエネルギーのセミナーを開催した。参加した日本企業は120社を超えた。