昨年、民間から転身した林文子氏が横浜市初の女性市長に就任してから、1年が経った。莫大な人口を抱える横浜市は、「日本社会の縮図」ともいうべき少子高齢化の波に晒されている。生産年齢人口の減少が続く一方で、国の将来を担うべき若い人口を増やすための子育て支援は必ずしも充実しておらず、保育園に入れない待機児童の数は全国最大規模となっている。危機的な少子化社会の現状に警鐘を鳴らし、「待機児童の解消」を公約にして当選した林市長が、子育て支援の重要性とこれまでの成果を語る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)
――昨年、林市長が民間から転身して、横浜市初の女性市長に就任してから、1年が経ちました。360万人以上の人口を抱える横浜市は、生産年齢人口の減少や老齢人口の増加という「日本社会の縮図」ともいうべき少子高齢化の波に晒されています。
また横浜市は、待機児童数が多い自治体としても知られています。林市長は、子育て支援の充実、特に保育園などに入れない「待機児童」の解消を公約に掲げて当選しました。改めてその思いを聞かせてください。
待機児童の解消は、喫緊の課題であると考えていました。私は、民間企業の経営に長く携わり、保育所に子どもを預けることができずに、仕事を断念せざるを得なかった優秀な女性社員を、何人も見てきました。
企業だけでなく、社会全体を良くするためにも、もっと女性の管理職や経営者が増えることが大事だと思っています。そこで市長になって、女性のキャリアアップを阻む待機児童の問題に、積極的に取り組みたいと考えました。
実際、働き方は多様化しているのに、幼い子どもを抱える保護者への対応策は、必ずしも充実していません。たとえば、横浜市の調査では、未就学児童を持つ働いていない保護者の7割が就労を希望しているものの、そのうち9割はパートやアルバイトを希望しているという結果が出ました。