今回のベストセラー著者対談は「トップ営業ウーマン」。プレイヤーとしてだけでなく、マネジャーとしてチームで成果を上げた実績がある点が共通しています。そんな2人にとって、目標達成と部下育成に欠かせないツールだったのが「手帳」。さっそく具体的な活用法を伺いました。部下とのコミュニケーション不足解消のアイデアも!(構成:両角晴香 撮影:疋田千里)

「月」ではなく
「週」で仕事を管理

――ともにトップ営業パーソンでありトップ営業マネジャーでもあったお2人。田島弓子さんの著書『プレイングマネジャーの戦略ノート術』も和田裕美さんの『和田裕美の営業手帳2017』も、アプローチは違えど、「週」単位で区切ってスケジュールを管理している点が特徴的です。和田さんは1年を1月、2月と月単位ではなく、1週、2週と、計52週に分けています。その意図とは?

トップ営業ウーマンに不可欠のツールは<br />「手帳」だった!和田裕美(わだ ひろみ)京都生まれ。
作家、和田裕美事務所株式会社代表、光華女子大学キャリア形成学科客員教授。営業力・コミュニケーション力・モチベーションアップのための講演・コンサルティングを国内外で展開している。小学生のときから通知表に「もっと積極的にお友だちとお話ししましょう」と書かれ続けたほど引っ込み思案な性格にもかかわらず、上京後は外資系企業の営業職に就く。当初はおどおどして相手の目を見て会話することもままならず、長い間つらく厳しい下積み時代が続いたが、独自の「ファン作り」営業スタイルを構築し、試行錯誤を重ね、徐々にプレゼンしたお客様の98%から契約をもらうまでになる。それによって日本でトップ、世界142ヵ国中2位の成績を収めた。その経験から「考え方」と「行動」で運命はいくらでも変えられるのだと実感し、自分が行っていた思考パターンを「陽転思考」として確立する。女性ビジネス書の先駆けとして大きな反響を呼んだ『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』(ダイヤ モンド社)がベストセラーになる。ほかに『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)など著書多数。最新刊は 『幸せなお金持ちになる すごいお金。』(SBクリエイティブ)

和田 そうですね。月単位でスケジュールをとらえると、数字の締めのある月末にバタバタしてしまうんですよね。本当は、月初からしっかり営業をかけて数字を積み上げ、月末は来月の仕事に取り組んだほうが、効率はいいんです。ですが、月単位でスケジュールを考えてしまうと、月初は「まだまだ時間がある」と、どうしてもスローペースになりがちです。

――なるほど。月末の数日間でなんとか帳尻を合わせようとするから、結局目標達成できずに終わってしまう、と。

和田 そうならないために「週締め」なんです。月締めだと、1年に12回しか締め日がありません。でも、1週間ごとだと、月に4回締めがやってきます。1年で52回締め日がある人と、12回しかない人とでは、結果が大きく変わってきます。中だるみを解消する秘訣です。

田島 私も見開き「週」単位の手帳を使っていました。和田さんの言うとおり「週」はスケジュールを把握するのにちょうどいいんですよね。「日」だと細かすぎる気がします。To Doリストも、毎日ではなく「今週中にやるべきこと」という週単位でつくっていました。そのほうが日々の突発的な出来事にも柔軟に対応でき、「今週で帳尻を合わせよう」という意識も出ます。

――週締めだと土日休んで、気持ち新たに月曜日にスタートダッシュが切れるのもメリットですか?

和田 そうですね。1週間ごとに「今週は何本契約を取る」とコミットしてもらっていたので、月曜から仕切り直して頑張れるところはあると思います。細分化するのには理由があって、例えば1週間で300万円売り上げたいとコミットされれば、「では何件アプローチすればいい?」、「そのために1週間で何人に会わないといけない?」、「じゃあ今日は何人にお電話するの?」、「今すべきことは?」と、何からやったらいいのか?今日は何をすればいいのか?という日々の業務を見える化できます。そこで「このやり方では無理だ」となる場合もあって、そのときは「じゃ、どうする?」と試行錯誤する段階も生まれます。より具体的に自分の動きを把握し、間違っていたらすぐに方向転換できるわけです。

――田島さんはいかがでしょうか。

田島 私の場合、自分よりも実務能力が高い人たちが部下だったので、和田さんとは少しアプローチが違うかもしれません。1から10まで状況を把握する必要はなかったし、部下の仕事の進め方に口出しはしませんでした。今週は○○さんのあの案件が肝だなと、手帳で確認するイメージですね。