東電新体制が発足、「好戦的」営業姿勢に他社戦々恐々東電ホールディングス社長に就任する小早川智明・東電EP社長(左)と川村隆・日立製作所名誉会長。改革を断行できるか photo:Yasuo Katate、JIJI

 東京電力ホールディングスが新体制に移行する。会長には日立製作所の川村隆名誉会長が就き、社長には小売り部門の東電エナジーパートナー(EP)の小早川智明社長が就任する。新体制の陣容に対し、業界内では期待と不安が交錯している。

「EPはダンピングまがいのなりふり構わぬ販売姿勢で、供給エリア外へ攻勢に出ていた。そういう積極姿勢が国に評価されたんだろう」と電力業界関係者は話す。確かに、小早川社長は法人営業畑が長く、東電生え抜きとしては珍しい営業マインドを持つ人物として知られる。

 法人営業は、電気を大量に消費する工場など大口の電力ユーザーに対して、節電やエネルギー効率の改善を提案し、契約を取っていく部隊。2016年4月に家庭向けの電力市場が自由化されたが、大口の電力市場は2000年から自由化が始まり、新電力を含めて激しい競争が続いている市場だ。

 そんな最前線の部隊でキャリアを積んできたからか、常務執行役として、16年4月の家庭向け電力市場の完全自由化へ向けた準備を任されていた15年度は、他の電力会社に先駆けて、次々と異業種とのアライアンス締結に成功。過去約2年間で、東電の中で最も他社とのアライアンスを進めた人物だといってもいいだろう。