アマゾンが銀行のライバルに?新手の資金調達サービスが盛り上がる背景日本の資金需要は低成長のため弱いとの見方があるが、実際は貸し手がいなくなった影響のほうが大きい(写真はイメージです) Photo:PIXTA

金融サービスで有望な事業は
資産運用関連と資金調達関連

 いかなる事業においても、unmet needs(満たされないニーズ)や、明確な需要が存在しない事業は、なかなか成功しない。特に財務体力やブランドのないベンチャーが、顕在化していない需要を新たに作り出そうとするのは危険すぎる。逆に、もしすでに需要が特定されているのなら、その需要に応える商品・サービスを作れば良い。

 ただし当然だが、そのような需要に対しては、既存の商品・サービスが存在する。この場合、後発の新規参入者としては、業界標準となっている商品・サービスに対し、(1)減らす(例えば値段を安くする)、(2)取り除く(無駄な機能を省く)、(3)新たに追加する(新機能を加える)、(4)引き上げる(クオリティを高める)、などの方法でライバルと差別化することになる。

 では、新たに金融サービスを立ち上げるとすると、どんな事業が有望であろうか。前述の文脈に沿って考えると、資産運用関連と資金調達関連は、間違いなく有望である。

 世界屈指の規模を誇る日本の個人金融資産の過半数は、現金・預金に滞留したままである。そうした中で「老後資金2000万円問題」が出て、巷では積立型の保険商品が売れに売れているという。このことからも資産運用ニーズや潜在需要は高いといえる。これだけ明確かつ巨大なunmet needsがある事業分野も他にはない。

 では、資金調達関連についてはどうだろうか、果たして国内に資金需要は存在するのか、などと疑わしく思う方もおられるかもしれない。しかし、日本には膨大な資金調達ニーズが存在する。ただし、そのニーズが見えにくくなっている。なぜなら、資金需要を受け止めるサービス提供者が多様化しているからだ。