私たちの生活には、いろいろなところで神様の存在を感じられることがあります。身近なところでは、「初詣」。受験生なら「合格祈願」。ビジネスパーソンなら「商売繁盛」。名だたる経営者も、日本の歴史をつくった戦国大名や歴代天皇も、神様を信仰し、力を借りて成功を収めてきました。漫画やゲームのキャラクター名でつかわれていることもあります。もしかしたら、ヒットの要因は、神様のご利益かもしれませんね。
日本には、八百万(やおよろず)の神様がいると言われています。膨大な神様の中から100項目にわたって紹介する新刊『最強の神様100』には、古代から現代まで、めちゃくちゃ力のある神様が登場します。最強クラスの神様なので、ご利益も多種多様。
本日9月21日は、「旧秋の明月」。この日に紹介するにふさわしいツキヨミは、運がついているの「ツキ」を担当する神様です。月は夜出現するだけあって、夜のお仕事の人に良いとされている神様です。ぜひ、周りにそのような方がいたら、ぜひ紹介してあげてください。

聖徳太子が信仰したとされる謎多き神様の正体は?Photo: Adobe Stock

夜を支配し、ツキを司る月の神

聖徳太子が信仰したとされる謎多き神様の正体は?ツキヨミ
イラスト/朝倉千夏

「ツイてるわ~」と幸運や不運を感じることがありますよね。その「ツキ」を担当するのが、ツキヨミ(ツクヨミ)です。漢字では、月読、月夜見、月弓など。夜のお月様の神で「アマテラスの次にえらい神」のはずですが、古事記では生まれただけで何もしません。謎めいた神様ですね。

 ツキヨミを祭る京都市の月読神社(松尾大社の南)には聖徳太子社があり、聖徳太子が信仰したとされますが、何の証拠も残っていないのが、やはり謎です。月読神社は聖徳太子のブレーン秦氏の拠点に建てられ、秦氏の始祖は「弓月君」なる人物なので、聖徳太子・秦氏政権の中心にいた神様かもしれません。

 ツキヨミのご利益といえば、「ツイてる」ことでしょう。ラッキーが起こることですが、神通力とも呼ぶ謎のパワーも付きます。ツキヨミ信仰の最大拠点である出羽三山のひとつ山形県の月山は、神通力を開発する修験道の修行場所トップ3に入ります。

 また、ツキヨミの子孫とされる浦島太郎の「うら」は、「うら→裏」「うら→占」で、ツキヨミは占いの神、裏世界・異世界の神です。ちなみに、浦島太郎とツキヨミは、京都府伊根町の浦嶋神社に一緒に祭られています。

 個人的なことですが、ツキヨミを祭る伊勢市の月讀宮(つきよみのみや)と月夜見宮(つきよみのみや)に参拝してから、夜の会食が増えました。「夜の食国(よるのおすくに)」なる謎の場所を治める神ですが、読んで字のごとく、夜の飲み食いと関係するのでしょう。物事は夜決まることも多く、仕事の機会も自然に増えました。占い師や水商売の人は特にご縁を深めるとよい神様ですね。

 夜の食国では、裏で人間関係が増えたり深まったりして、チャンスが増えます。半面、ピンチも増えそうで、ツキの魅力は危険と背中合わせですね。神様が憑く・憑依するのも、ツキヨミのはたらき。「何だかわからないけれど、あの人はうまくいっているよね」の裏には、ツキヨミのお力がはたらいているのです。

【主なご利益】商売繁盛、交通安全、五穀豊穣

【こんな人にオススメ!】
夜のお仕事関係の人

*本原稿は、八木龍平著『最強の神様100』からの抜粋です。