ドル円相場の変動幅は過去5年で最大に、「次の大相場は円安」の理由Photo:PIXTA

ドル円相場は4年8カ月ぶりの115円台をつけた。今年の変動幅は、5年ぶりの大きさになる見通しだ。インフレに対応し、金融政策の転換を模索する他の主要国の中央銀行と違い、日本銀行に政策変更の兆しはない。こうした状況下、次の大相場は円安となる公算は小さくない。(みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔)

4年8カ月ぶりの1ドル=115円台
円はG7の中で最弱通貨

 10月以降、ドル円相場は荒っぽい値動きが続いている。11月23日には2017年3月以来、4年8カ月ぶりの115円台を突破している。

 周知の通り、景気回復とそれに伴う金融政策の正常化が顕著な欧米経済に対して日本経済の劣後はあまりにも目立つ状況にある。日本銀行が価格形成の主役を担う債券市場はともかく、為替・株式市場ではこうしたファンダメンタルズを素直に評価した展開が、年初来続いている。

 たとえば、名目実効ベースでG7の通貨を比較すると、日本の円の立ち位置の弱さは際立つ(下のグラフ参照)。G7の中で最弱通貨である。程度の差こそあれ、これは主要株価指数における日経平均株価の状況も同様である。

 こうした円売りの優勢が続いた結果、今年のドル円相場は久しぶりに変動幅の大きい動きとなっている。近年のドル円相場は閑散が常態化しており、2018年および19年は2年連続で史上最小の変動幅を更新した(ともに10円未満の変動幅だった)。