5月22日のバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言以降、米国の金融政策が市場の最大の関心事となっている。米国債市場では6月、7月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を経て、資産買い入れ政策の年内縮小開始の可能性が高まったことで長期金利の上昇傾向が強まり、10年国債利回りは3%近くにまで上昇した。

 他方、5月に混乱に陥った日本国債市場では、円安持続のために長期金利低位安定が不可避と判断した日本銀行が、債券市場との対話を積極化し動揺を収めた。長期金利が銀行の新規貸出金利(長期)の0.9%に近づいたこともあり、再び投資家による債券投資が活発化し、6月以降はむしろ長期金利の低下傾向が鮮明となった。

 日銀の国債買い入れ額は巨額であり、国内投資家が金利を押し上げてまで積極的に債券を売らなければ、日本の長期金利は上昇し難い。アベノミクスの下でも企業マインドが慎重で、設備投資が大幅に伸びそうにはなく、国内投資家にとって円債投資が重要な資金運用手段である環境は変わらない。日米債券市場のデカップリングは日本独自の要因から生じたといえる。