「新しい分野への種まきもしていく」(村田紀敏・セブン&アイ・ホールディングス社長)

 10月1日に発表されたセブンの2009年度第2四半期の業績は、イトーヨーカ堂が上半期で創業以来初の営業赤字に陥るなど、厳しい結果に終わった。対策としてセブンは、ヨーカ堂で通年196億円の経費削減などを目指す一方、次に育てるべき主柱の1つにインターネット事業を挙げる。目指すは4年後までに売上高1000億円、現状の約3倍だ。

 11月には、書籍やCDのネット通販を行なうセブンアンドワイが中心となり、ヨーカ堂などのネット通販事業を統合。埼玉に倉庫を造り、日用品や食品など、11カテゴリー、500万品目を取り扱う“セブンネットショッピング”を始動する。

 「セブンアンドワイは店舗受け取りが多い」(セブン)。そこで24時間営業のセブン-イレブンの店舗網を強みとし、かつ、そこへの集客という相乗効果を図るため、自宅配送にも、セブン-イレブンでの店舗受け取りにも対応する。

 ヨーカ堂の実店舗とは補完と連携を狙う。ニッチ商品や冬季における水着など、一部では需要があるが、場所に制約があり、店頭には置けない商品を中心に品揃えする。実店舗では売れ残ると処分するしかない商品の販売も考える。

 ただし、課題もある。セブンネットショッピング始動後も、実店舗のサービスとしてセブン-イレブンネットやヨーカ堂のネットスーパーは残すため、消費者が混乱する恐れがある。また、楽天市場の商品数はいまや4000万点を超えるなど、他社との競争も激しい。

 セブンには、自社サイト間の利用機会の区別を認知させる努力とともに、ヨーカ堂や百貨店事業の調達力を生かした“セブンセレクト”である信頼感の訴求や、セールなど、売り方の工夫が求められそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

週刊ダイヤモンド