外交・安全保障(3) サブカテゴリ
米朝首脳会談開催は自然の流れだ。北朝鮮は米国の攻撃を避けたいし、米国も北の核ミサイルから米本土の安全を守るのが最優先だからだ。日本は「米朝対話」に関与できないまま米国への追随が深まりそうだ。

米国の「核態勢見直し」は、小型化した「使いやすい核兵器」を開発し北朝鮮や中露の脅威に対応する狙いと同時に、同盟国を守るという名目で日本や韓国の核武装を封じる思惑がある。

第86回
プーチン大統領といえば、元KGBの工作員や独裁者であるといったイメージを持たれることだろう。だが時に起こす彼の大胆な行動に、世界は度々驚かされてきた。このミステリアスな大統領の素顔にオリバー・ストーン映画監督が迫る。

世論調査で対北への米軍の軍事行動を「支持する」層が日本で予想以上に多い。日本が被害を受けることには思いも及ばす「米軍が北を懲らしめてくれるなら」との感情からか。だが「平和ボケタカ派」は政府を戦争に向かわせる実害を与えかねず、危険だ。

米国の対北朝鮮軍事行動は米軍中枢部の反対で控えられているが、エルサレムをイスラエルの首都と突如認め世界から批判を受けたように、トランプ大統領の「愚行」から一触即発の状態になるリスクは残る。

対北朝鮮問題でトランプ大統領がアジアを歴訪、時をあわせて米韓軍が合同演習を展開するなかで、これまでなら、それに挑むようにミサイル発射などで軍事力を誇示してきた北朝鮮が“沈黙”している。その背景は何なのか。

米国が打ち出した北朝鮮取引企業などの対外資産凍結は、ミサイル開発をやめさせる効果を期待できないだけでなく、国際法上疑義がある。先例となれば、強国が世界を支配する新たな道具になりかねない。

日本上空を越えたICBMの発射に続いて、「水爆製造成功」は、北朝鮮の「核保有国」化が現実になりつつあることを示す。日本の監視システムやミサイル防衛は限界があり、日本は第二次大戦後最悪の危機に直面したといってよい。

米国に向けてミサイル実験を続ける北朝鮮に対し、トランプ大統領が「戦争は現地で起きる」などと発言したと伝えられている。北を攻撃しても米国は被害を受けないという露骨な「自国第一」だが、日本も改めて軍事同盟の持つリスクを認識する必要がある。

米軍の乗組員7人が死亡した米イージス駆逐艦とコンテナ船の衝突から一か月が経っても、事故の真相究明が進んでいない。軍艦の場合、他国の司法や行政の管轄権から免除される慣行が、日本側の調査の壁になっているからだ。

北朝鮮のミサイル発射実験が続くが、米国は朝鮮半島沖に出動させた空母を引きあげ、平時の体制に戻しつつある。一方、対北朝鮮で連携を深めていたはずの中国に対して再び強硬な姿勢を取り始めた。首尾一貫しないトランプ政権の迷走が新たなリスクだ。

朝鮮半島情勢が緊迫する中で政府は、北朝鮮のミサイル発射に備え、住民避難訓練の実施を自治体に求めたが、避難の警報を出す全国瞬時警報システム(Jアラート)では、ミサイルの射程や飛ぶ方向をすぐに察知するは難しい。ミサイルの落下前に警報を出すのは至難の業というお粗末な危機管理体制だ。

核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮に対し、トランプ米大統領が「独自の行動」を示唆し、周辺海域に米空母を向かわせた。だがもはや北朝鮮を軍事力で抑え込むのは難しく、“第2次朝鮮戦争”となれば米国にも代償が大きすぎる。空母派遣は北朝鮮と中国に向けた政治的ジェスチャーだ。

「化学兵器使用」を名目に米国が巡航ミサイルでのシリア攻撃に踏み切った。国連の承認がないままの「自衛権の行使」の正当性に疑問が投げかけられているうえに、そもそもシリアが化学兵器を使った証拠もいまのところ示されていない。支持率低下を挽回するために軍事行動に出る例は過去にもあった。歴史はまた繰り返されたのか。

ロシアがサイバー攻撃で得た情報をもとに、米大統領選でトランプ氏を“援護射撃”していた疑惑は、トランプ側近が政権発足前からロシア側と接触していたことが相次いで明らかになり、世界の情報戦史上で最大級の“謀略”の様相が色濃くなってきた。

第33回
今、話題となっている移民問題。「移民で治安が悪くなる」「雇用が奪われる」等と言われているが、実際はどうなのか。本書の「国境を完全開放したほうがよい」といった大胆な提案に注目しながら読み進めていくと、移民問題をより多面的にとらえられるようになるはずだ。

第75回
安倍首相とトランプ米大統領に会談は、日米同盟の強化で合意した。一方、トランプ大統領はこの会談前日に、中国の習近平国家主席と1時間の電話会談を行い「私たちは仲良くなろうとしている。日本にとってもそれはとても利益になるでしょう」と共同記者会見で述べた。この流れは、日本にどんな影響があるだろうか。

第74回
トランプ氏がモスクワのホテルの特別室に複数のコールガールを入れ、“Golden Shower”(放尿)をさせるなど乱痴気騒ぎをしたのを、ロシア情報部が隠しカメラで撮影していた、という内容をインターネットメディアの「バズフィード」が報じた。これが事実であれば、次期米大統領はロシアに致命的な弱味を握られていて、その操り人形にもなりかねない。

プーチン露大統領の訪日を前に、日本では一時「北方領土問題での画期的進展があるのでは」との期待感が外務省の一部から流れた。「テリトリー争い」は生物の本能であり、どの国の民衆も領土問題ではひどく愛国的になるが、領土が国力とほぼ無関係であることを示す例は多い。

第72回
もしトランプ氏が米軍を撤退させれば、日本にとっては、沖縄の基地問題は解消し、政府は年間6000億円近い経費分担を免れ、さらに朝鮮の核の脅威が減少するというメリットまで得られる。「米軍に守って貰っている」というのは誤解で、米軍撤退は日本にとっては「結構な話」なのだ。
