外交・安全保障(4) サブカテゴリ
第71回
昨年7月9日付の本欄に私は「国民的議論もないフィリピンとの同盟関係が孕む危険」と題する解説を出したが、それから僅か10ヵ月後、今年5月9日のフィリピン大統領選挙でロドリコ・ドゥテルテ氏が当選し事態は急変した。やはり同国は同盟国としては危なっかしい。

第70回
北朝鮮は9月9日に行った5回目の核実験で、「小型化、軽量化された核弾頭を必要なだけ生産できるようになった」との声明を発表した。北朝鮮が公然と国連案安保理決議を無視し、核、ミサイル戦力を誇示するなか、各国は対応策を見出せずにいる。

第69回
8月3日午前7時53分頃、北朝鮮が発射した弾道ミサイルは約1000km飛行して秋田県沖の日本の排他的経済水域内に落下した。日本政府がこのミサイルの発射を知ったのはそれが落下した後で、日本のミサイル防衛は形だけであることを証明する結果となった。

第439回
中国政府による積極的な海洋進出は、国内経済の減速に対する国民の不満を抑え、関心を海外に向けさせようとする意図と焦りを読み取ることができる。

第68回
中国の南シナ海における領有権の主張に、フィリピンが国連海洋法条約に違反すると提訴していた問題で、国際司法はフィリピンの主張を認める判断を示した。これにより中国と米国間の緊張も高まるが、日本にとっては米中の対立を助長するような行動は百害あって一利もない。

第67回
今月9日未明、中国軍艦が尖閣諸島付近の接続水域に入ったことに対し、日本政府は午前2時に中国大使を外務省に呼び抗議すしたが、法的には領海の外側に設けられる接続水域は公海であって、どの国の軍艦も自由に航行できる。

第66回
安倍政権はオーストラリアを対中戦略の「准同盟国」と見て、「そうりゅう」(蒼龍)型潜水艦の共同建造で軍事協力を進めようとしていたが、有力候補だった日本はフランスに敗れた。その背景にあったものは必ずしも技術力や価格だけではない。

第65回
米大統領選でドナルド・トランプ氏が日韓両国の核武装を容認するような発言をしたり、日本の政治家のあいだでも日本の核武装を検討すべきとの声が上がっているが、そのシナリオにはまるで現実性がない。

第64回
北朝鮮への国連安保理による制裁決議は「従来にない強い制裁」と称されているが、事実上骨抜きの内容であり、だからこそ中国は制裁案に賛成したのだろう。では中国はなぜ北朝鮮をかばうのだろうか。

北朝鮮が日本に大打撃を与える意図を持つならば、間違いなく原発をターゲットにするだろう。だが政府は北朝鮮ミサイルの脅威を煽りながら、原発を無防備のまま再稼働させた。安倍政権の安全保障への根本姿勢が問われなければならない。

第63回
北朝鮮は2月7日に米国が「テポドン2改」と仮称しているロケットを発射した。日本では「長距離ミサイル発射」と報道されているが、米国などのメディアは「ロケット」と報じている例が多く、その方が正確で無難な表現だ。

第62回
台湾の総統選挙で民進党の蔡英文氏が勝利した。日本では「台湾で独立への動きが再燃し、中台の緊張が高まるのではないか」との声があるが、現実には台湾の世論調査で「現状維持」を望む人は88.5%に達する。

第61回
北朝鮮が水素爆弾の実験に成功したと発表した。「本当に水爆だったのか」との疑問が出ているが、爆発の規模で水爆か否かを推定するのは無理がある。爆発力を抑える「威力制御」は可能だ。

第60回
米国はパリ同時多発テロ事件後の11月23日、シリアではじめて石油輸送トラックを攻撃したと発表した。米軍が効果を強調すればするほど「なぜこれまでやらなかったのか」との疑問が生じる。

第59回
パリのテロ事件はほぼ解決したが、次にもテロが起こる危険があるから、仏政府としてはISに対する報復と全滅を目標とせざるをえない。ISが“首都”としているシリア北部のラッカ奪還を目指せば激しい地上戦になりそうだ。

日韓首脳会談が長らく開催できなかった理由には、慰安婦問題がある。朴大統領はなぜこの問題にこだわるのか。なぜそれが豹変し首脳会談開催に至ったのか。韓国の内情をよく知る前駐韓大使が斬る。

第58回
オバマ大統領は結局イラクからもアフガニスタンからも足が抜けず、さらに自らシリア内戦に介入し、そのいずれも出口の見えない混迷の中、大統領の任期の最終年を迎えることになった。

第57回
南シナ海に浮かぶ中国人工島の12海里以内を米海軍駆逐艦が航行し、米中の緊張が高まっている。だが実際に武力衝突に発展する公算は低い。両国間に暗黙の了解があった、とも考えられる。

9月30日、新安保法が公布された。採決の過程や内容の是非をめぐり今なお激しい論争が繰り広げられているが、議論は全く噛み合わない。いったい何が問題の本質なのか。新安保法が成立した今、国民はこれにどう向き合うべきなのか。

9月30日、新安保法が公布された。採決の過程や内容の是非をめぐり今なお激しい論争が繰り広げられているが、議論は全く噛み合わない。いったい何が問題の本質なのか。新安保法が成立した今、国民はこれにどう向き合うべきなのか。
