
大前和徳
これからの10年を予想するのは難しく感じるが、過去を振り返ると10年単位の変化の萌芽は、必ずその前に芽吹いている。たとえばこの10年は、スマートフォンにより世界の1人1人がつながり、Facebook、Twitter、Uber、AirBnB、メルカリといった個人間サービスが普及した。2020年代に大きく成長するであろう、ブロックチェーンと暗号資産の担い手とは。

2020年代という新しいディケード(decade)が幕を開けた。10年代はスマートフォンが我々の生活を一変させ、世界中の人々がP2Pレベルで繋がる時代になった。しかし20年代は、共通のプラットフォームでフラットにつながる画一的な世界ではなく、様々な制度や価値観が併存し、まだら色で凸凹のある荒地のような世界観を前提としておく方が無難だ。その象徴がゴーン被告の逃亡劇だったといえよう。新しい10年を生きる我々が考えるべき選択肢を、筆者が目にしてきた事例から考える。

2019年は、Facebookがリブラ・プロジェクトを発表したほか、フィンテック・ベンチャーの資金調達は活発で、12月にはマクアケやフリーなどのIPOもあるなど、フィンテックに関連する動きを多数目にすることになった。しかし、フィンッテクに関する用語(ワード)は見慣れないものが多く、検索エンジンを使ってフィンテック関連ワードを調べる動きも多かったと推察される。そこで、検索エンジンで検索されたフィンテック関連ワードに注目し、フィンテックがどのように検索されているのかを振り返ってみた。

北海道、京都、長野、九州、東北などは地域独自の魅力を磨き、国内外の人々を惹きつけている。地方は、中央に依存することなく自分たちで知恵を絞っていく時代に入った。それは、日本全体のGDP向上への寄与も期待できる。2020年からの地方創生第2期に、地方それぞれが強みや特長を活かし「オンリーワン」を育てるための発想の転換とは。

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が盛り上がりを見せている。ラグビー競技で興味深いのは、出場する選手の多様性だ。企業でも人材の多様性の必要性が指摘されるが、多様な人材を有効に活用するためには、組織を適材適所で編成する必要がある。今回のラグビー日本代表が見せてくれたのは、多様性のある組織(ダイバーシティ組織)が1つの目標に向かって団結する強さである。

深刻な人手不足を背景に、日本でも多様な働き方やライフスタイルが生まれている。その結果、個人は企業に「雇われる」立場ではなく対等な関係に近づいており、受け取る報酬も給与だけでなく業務受託報酬の側面が強くなっている。最近では、給与を受け取るまでの資金繰りを解決するためのフィンテック・サービスとして「給与前払いサービス」が提供されている。米国では大手企業でも活用されており、一部の州政府は同サービスに対応した法律の整備を進めている。米国に後れを取っている日本の当局でも、同サービスに対する積極的な関与が期待される。

大企業の多くは新規事業に取り組んでおり、従業員たちは熱心に情報収集している。しかし、その姿勢に疑問を感じることも多い。失敗したくないという意識が強すぎるほか、短期的に成果を求めすぎたり、新規事業の可能性を過小評価する傾向が強いからかもしれない。しかし、それでは新規事業はいつまで経っても離陸しない。大企業による新規事業立ち上げに必要な注意事項を紹介する。

日本の資金需要は低成長のため弱いとの見方があるが、貸し手である銀行やノンバンクが頼れなくなったため、資金需要が表面化しにくくなったのが真の理由だ。実は、個人向け・法人向けともに、融資とは違う形で資金需要に応えるサービスが急増している。既存の金融機関が生き残るための道とは何だろうか。

暗号資産(旧称:仮想通貨)は、日本では投機の対象とみられがちだが、世界では既存業界を巻き込む形で活用事例が着実に増えている。暗号資産とその基礎技術であるブロックチェーンは、境界線やその枠内で構築された固有の制度や仕組みを飛び越えて成り立つ可能性を秘めているため、変化の胎動をしっかりとフォローすべきだ。

人口減少社会を迎えるなか、かつて日本産業界の上位に君臨していた銀行業界の勢いは見る影もない。しかし、銀行は新たな収益モデルを探すよりも、本業であり最大の強みでもある貸出にもっと真剣に取り組むべきだ。そのための「解」がフィンテックである。
