猪熊建夫
第62回
高さ日本一の石垣に鎮座して、北に瀬戸内海を見はるかす丸亀城。京極氏6万石の丸亀藩が居城としていた。その、すぐ南にあるのが香川県立丸亀高校だ。多くの学者や文化人を輩出している。

第61回
「卬高(こうこう=高きを仰ぐ)」という格調高い校訓を持つ。秀峰富士を校窓から眺める県立静岡高校ならではの校訓だ。静岡県人はのんびり屋タイプが多いといわれるが、静岡高校の卒業生はそんな俗説を跳ね飛ばすかのように多方面で活躍している。

第60回
神戸市の北方約50kmの、兵庫県のほぼ中央に位置する西脇市。かつては播州織で全国に名をはせた。現在は県立西脇高校が、秀才兄弟や芸術家を輩出したことで知られる。

第59回
女子学院高校東京の都心・千代田区でキリスト教精神の私立中高一貫校として、150年余の校歴を刻んできた。横浜市のフェリス女学院高校と並び、日本最古の女学校だ。桜蔭、雙葉高校と共に東京の「女子御三家」に数えられる。

第58回
鹿児島市立の伝統校だ。中高一貫教育で、個性あふれる人材が巣立っている。運動場や芸術棟、理科実験室など施設がすこぶる充実しており、部活動が盛んだ。「経営の神様」と言われた稲盛和夫が、今年8月に死去した。90歳。まさに、「巨星墜(お)つ」だ。稲盛は、電子部品大手の京セラや第二電電(現KDDI)などを創業し、会社更生法の適用を申請した日本航空(JAL)を再建した。ベンチャー企業経営者の雄であり、日本の実業界のリーダーだった。

第57回
JR札幌駅の北3キロにある。北海道内で最初の公立女学校だった北海道庁立札幌高等女学校が前身だ。進路指導は手厚く、北海道大学への合格者数ではトップ校だ。日本航空の社長・赤坂祐二が札幌北高校の出身だ。東京大大学院工学系研究科航空学専攻を修了し、日航に技術系の生え抜き社員として入社した。高校時代から飛行機の勉強をしたかった、という。今でも趣味は飛行機のプラモデル作りだというから、徹底している。

第56回
小石川中等教育学校は、都心の文京区にある。都立小石川高校というのはすでに閉校し、2006年度から都立小石川中等教育学校という6年制の一貫校にリニューアルされている。「教養主義・理数重視」の伝統が、大正時代の開校時から連綿と引き継がれており、最近は大学合格実績も急伸している。

第55回
大分県の南東端に位置し、リアス式海岸地帯が広がる佐伯(さいき)市。県立佐伯鶴城(かくじょう)高校はスポーツが盛んで、水泳、野球、陸上、体操などで多くの有力選手が育っている。一方、名の知れた企業経営者も輩出している。

第54回
奈良女子大学附属中等教育学校は、東大寺、興福寺、春日大社、正倉院を擁する奈良公園の南にある。前身は1911年創設の奈良女子高等師範学校附属高等女学校だ。現在は、1年~6年生までの中等教育学校で、男女共学だ。

第53回
甲府盆地の北東にあり、ワインの産地として知られる山梨市。そこに明治時代、山梨県第二中学として設立されたのが、県立日川(ひかわ)高校だ。ラグビーの名門として、全国に鳴らしている。

第52回
島根県の西部で、日本海に面した浜田市。県立浜田高校(略称・浜高)は旧制県立二中を前身とする伝統校だ。2023年に、創立130周年を迎える。文武両道が徹底し、有力なスポーツ選手や優秀な経営者が輩出している。

第51回
織田信長の城下町として栄えた岐阜。街の真ん中には、全国指折りの清流である長良川が流れている。長良川の東側にある県立岐阜高校は、2023年に創立150周年を迎える。飛び抜けた伝統と進学実績を誇っている。

第50回
佐賀県の北西に位置し、玄界灘に面する唐津市。幕末には小笠原家唐津藩6万石が領する城下町だった。佐賀県立唐津東高校のルーツは、唐津藩が1871年に設立した英学校「耐恒寮(たいこうりょう)」という藩校までさかのぼることができる。わずか1年3カ月の短い間にすぎなかったが、この藩校で学んだ者の中から、後に建築界などで活躍する多くの俊英が輩出した。

第49回
東京タワーのすぐ近く、東京・港区にある私立の男子校で、高校からの募集は行わない完全中高一貫校だ。浄土宗をバックに明治時代に設立され、名門の進学校として各界で活躍する多くの人材を、送り出してきた。

第48回
西京高校は、その名のごとく京都市の西郊・中京区にある。ルーツは1886年に創立された京都府商業学校だ。だが現在、「商業」の面影はない。未来社会創造学科エンタープライジング科というユニークな名称の学科だけがある。

第47回
東筑高校は福岡県北九州市の八幡西区にある。前身の福岡県東筑尋常中学校は、1898年に開校した。校是は文武両道、質実剛健だ。それを体現した卒業生を出している。

第46回
JR小田原駅の南西・相模湾側には小田原城址がある。線路を挟んだ山側の八幡山の、中世に存在した小田原城西曲輪跡に、神奈川県立小田原高校がある。自由でのびのびとして、活力にあふれた校風だ。そんな同校では個性豊かな人物が数多く育っている。

第45回
東京の西郊にある国立(くにたち)市。桐朋高校はその文教地帯にある。武蔵野の面影をとどめる緑と調和したキャンパスだ。私立で、男子のみの6年制中高一貫教育だ。個性が突出した卒業生がいる。弁護士の河合弘之だ。

第44回
細川家54万石の城下町として栄えた熊本。その熊本市に県で2番目の旧制県立中学として設立されたのが、熊本高校の前身だ。国公立大医学部に進学する生徒が多い。

第43回
東京東部の墨田区は明治時代初めから人口が急増し、繁華街もできた。そこに1901年に設立された東京府立第三中学校が、都立両国高校の前身だ。文化勲章の受章者を5人出すなど、多くの文化人を輩出してきた。
