猪熊建夫
第68回
戊辰戦争と太平洋戦争で、街が壊滅してしまった新潟県長岡市。それにめげず、県立長岡高校は1872年創立の、全国でも指折りの歴史と伝統を誇る。米国との戦争は無謀と認識しつつ連合艦隊司令長官を命ぜられ真珠湾攻撃に踏み切った山本五十六が、この学校を代表する卒業生だ。

第67回
豊多摩高校は、都内西郊の杉並区にある都立高校だ。周辺は典型的な住宅地で、サラリーマン家庭など中産階級の子弟が多い。自由でおおらかな校風を背景に、後年、文化人として活躍した卒業生が、多く巣立っている。

第66回
富山県北西部にあり、県下第2の都市・高岡市。加賀藩前田家の城下町として商工業が発展した。県立高岡高校は、富山市内にある富山高校、富山中部高校と共に、「富山御三家」に数えられ、全国に鳴り響く進学校になっている。

第65回
東京と千葉市のほぼ中間に位置し、人口64万人の千葉県船橋市。市内には公立の高校が二つある。県立船橋と船橋市立船橋だ。このため、略称は「県船」「市船(いちふな)」と、使い分けられている。今回紹介するのは、県立千葉、県立東葛飾とともに「県立御三家」に数えられる県立船橋高校の方だ。

第64回
大阪市天王寺区の上町台地には、聖徳太子が建立したという四天王寺がある。寺の境内の中に四天王寺高校がある。中高一貫の私立女子校だ。多くのオリンピアンを輩出する一方、大学医学部医学科への合格者が多いことでは全国屈指だ。

第63回
「杜(もり)の都」といわれる仙台。宮城県仙台第二高校の校地は、清流の広瀬川の右岸にある。仙台市内の一等地だ。男女共学化して15年。東北地方で随一の進学校になっており、今なお伸び盛りだ。

第62回
高さ日本一の石垣に鎮座して、北に瀬戸内海を見はるかす丸亀城。京極氏6万石の丸亀藩が居城としていた。その、すぐ南にあるのが香川県立丸亀高校だ。多くの学者や文化人を輩出している。

第61回
「卬高(こうこう=高きを仰ぐ)」という格調高い校訓を持つ。秀峰富士を校窓から眺める県立静岡高校ならではの校訓だ。静岡県人はのんびり屋タイプが多いといわれるが、静岡高校の卒業生はそんな俗説を跳ね飛ばすかのように多方面で活躍している。

第60回
神戸市の北方約50kmの、兵庫県のほぼ中央に位置する西脇市。かつては播州織で全国に名をはせた。現在は県立西脇高校が、秀才兄弟や芸術家を輩出したことで知られる。

第59回
女子学院高校東京の都心・千代田区でキリスト教精神の私立中高一貫校として、150年余の校歴を刻んできた。横浜市のフェリス女学院高校と並び、日本最古の女学校だ。桜蔭、雙葉高校と共に東京の「女子御三家」に数えられる。

第58回
鹿児島市立の伝統校だ。中高一貫教育で、個性あふれる人材が巣立っている。運動場や芸術棟、理科実験室など施設がすこぶる充実しており、部活動が盛んだ。「経営の神様」と言われた稲盛和夫が、今年8月に死去した。90歳。まさに、「巨星墜(お)つ」だ。稲盛は、電子部品大手の京セラや第二電電(現KDDI)などを創業し、会社更生法の適用を申請した日本航空(JAL)を再建した。ベンチャー企業経営者の雄であり、日本の実業界のリーダーだった。

第57回
JR札幌駅の北3キロにある。北海道内で最初の公立女学校だった北海道庁立札幌高等女学校が前身だ。進路指導は手厚く、北海道大学への合格者数ではトップ校だ。日本航空の社長・赤坂祐二が札幌北高校の出身だ。東京大大学院工学系研究科航空学専攻を修了し、日航に技術系の生え抜き社員として入社した。高校時代から飛行機の勉強をしたかった、という。今でも趣味は飛行機のプラモデル作りだというから、徹底している。

第56回
小石川中等教育学校は、都心の文京区にある。都立小石川高校というのはすでに閉校し、2006年度から都立小石川中等教育学校という6年制の一貫校にリニューアルされている。「教養主義・理数重視」の伝統が、大正時代の開校時から連綿と引き継がれており、最近は大学合格実績も急伸している。

第55回
大分県の南東端に位置し、リアス式海岸地帯が広がる佐伯(さいき)市。県立佐伯鶴城(かくじょう)高校はスポーツが盛んで、水泳、野球、陸上、体操などで多くの有力選手が育っている。一方、名の知れた企業経営者も輩出している。

第54回
奈良女子大学附属中等教育学校は、東大寺、興福寺、春日大社、正倉院を擁する奈良公園の南にある。前身は1911年創設の奈良女子高等師範学校附属高等女学校だ。現在は、1年~6年生までの中等教育学校で、男女共学だ。

第53回
甲府盆地の北東にあり、ワインの産地として知られる山梨市。そこに明治時代、山梨県第二中学として設立されたのが、県立日川(ひかわ)高校だ。ラグビーの名門として、全国に鳴らしている。

第52回
島根県の西部で、日本海に面した浜田市。県立浜田高校(略称・浜高)は旧制県立二中を前身とする伝統校だ。2023年に、創立130周年を迎える。文武両道が徹底し、有力なスポーツ選手や優秀な経営者が輩出している。

第51回
織田信長の城下町として栄えた岐阜。街の真ん中には、全国指折りの清流である長良川が流れている。長良川の東側にある県立岐阜高校は、2023年に創立150周年を迎える。飛び抜けた伝統と進学実績を誇っている。

第50回
佐賀県の北西に位置し、玄界灘に面する唐津市。幕末には小笠原家唐津藩6万石が領する城下町だった。佐賀県立唐津東高校のルーツは、唐津藩が1871年に設立した英学校「耐恒寮(たいこうりょう)」という藩校までさかのぼることができる。わずか1年3カ月の短い間にすぎなかったが、この藩校で学んだ者の中から、後に建築界などで活躍する多くの俊英が輩出した。

第49回
東京タワーのすぐ近く、東京・港区にある私立の男子校で、高校からの募集は行わない完全中高一貫校だ。浄土宗をバックに明治時代に設立され、名門の進学校として各界で活躍する多くの人材を、送り出してきた。
