猪熊建夫
第82回
大阪港を擁する海の玄関口にある港区。大阪府立市岡高校は、その港区の中心部にある。明治以来、各分野で活躍した卒業生を多数、送り出してきた。「多士済々」の言葉通りだ。企業経営者をたくさん輩出している高校だが、投資ファンド間の駆け引きで経営が揺れ続ける東芝で、昨年3月に行われたトップ交代人事が、話題になっている。前社長・綱川智(都立小石川高校・現小石川中等教育学校―東大卒)の後を継いだ社長兼CEO(最高経営責任者)の島田太郎(1966年10月生まれ)は、2018年に東芝に入社した非生え抜きの「外様」だからだ。

第81回
運河に代表される観光都市として知られている小樽市。20万人を超えていた人口は11万人弱まで落ち込み、少子高齢化が進んでいるが、道内の公立高校としては4番目の伝統を誇るのが、道立の北海道小樽潮陵高校(略称は「潮陵」)だ。120年余りの星霜の中で、多くの人材を世に送り出してきた。

第80回
難読校の一つだ。「ぜぜ」高校と読む。琵琶湖南岸の滋賀県大津市にある。1898年に県第二尋常中学校として創立された。京都大に毎年度、多数が合格している。大手電気通信事業者のKDDIは、2022年7月2日から5日にかけ、約61時間に及ぶ大規模な通信障害を引き起こした。携帯電話サービスのauなど、3600万人以上の利用者に影響が出た。前代未聞の大事故だった。

第79回
東日本大震災から丸12年がたつ。太平洋に面する宮城県石巻市は街中が津波に襲われ、甚大な被害をこうむった。だが、創立100周年の県立石巻高校は災害にめげず、自由で明るい校風を堅持している。

第78回
東京・世田谷区にある。かつては「教駒」が略称だったが、今は「筑駒(つくこま)」だ。中高一貫校で国立の中・高校としては唯一の男子校だ。私立灘高校(神戸市)と双璧をなす「最強の進学校」だ。

第77回
日本海に面し、人口12万人の山形県鶴岡市。江戸時代、庄内藩酒井家14万石の城下町だった。その城跡に隣接する県立鶴岡南高校は、2024年4月からは併設型中高一貫校に衣替えし、校名も致道館高校になる。

第76回
埼玉県北部に位置し、人口19万人強の熊谷市。熊谷高校は、県第二尋常中学校として1895年に開校した。現在に至るも男子のみの高校だ。「県北の雄」として、硬軟かつ多様性のある人物を送り出している。

第75回
NHKの大河ドラマ『どうする家康』。徳川家康生誕の地として知られるのが愛知県岡崎市だ。そこにある県立岡崎高校は、公立高校だけの東京大合格者ランキングで、全国トップを9回も記録している。地方都市にある公立高校の中では、飛び抜けた進学校だ。

第74回
小中高一貫の私立男子校だ。フランス系カトリックが設立母体で、旧制の暁星中学校は明治時代に開校した。都心の千代田区にあり、裕福な家庭の子弟が集まっている。語学重視の教育が徹底している。多くの芸能人が巣立っている。

第73回
九州の北西端に位置し、長崎県内で2番目の人口の佐世保市。明治以来、軍港として知られ、現在も米軍や自衛隊の基地がある。市内北部にある長崎県立佐世保北高校からは、独創性に富んだ卒業生を輩出している。

第72回
石川県金沢市にある名園・兼六園の、南方3キロの住宅地にある。男女共学だが、設立時は「女子のみ」だったので、現在でも「旧女子校」の名残がある。

第71回
戦前の東京で、公立としては最初にできた女学校だった。戦後の学制改革で都立白鴎高校(※「鴎」は、正しくは「メ」の部分が「品」)と改称、男子にも門戸を開いた。2005年度からは、附属中学を併設し、中高一貫教育になった。これも都立高校としては初めてのことだ。

第70回
徳川御三家の一つ、水戸藩35万石が居城とした水戸城旧本丸跡にあるのが、茨城県立水戸第一高校だ。高台の由緒ある校地という点で、全国で三指に入る伝統校だ。

第69回
中国山地の盆地にある人口約10万人の岡山県津山市。松平家津山藩10万石の居城だった津山城跡のすぐ北に岡山県立津山高校がある。江戸時代半ばから蘭学、洋学が盛んで、津山高校もその伝統を受け継ぎ、個性あふれる多くの人物を輩出している。

第68回
戊辰戦争と太平洋戦争で、街が壊滅してしまった新潟県長岡市。それにめげず、県立長岡高校は1872年創立の、全国でも指折りの歴史と伝統を誇る。米国との戦争は無謀と認識しつつ連合艦隊司令長官を命ぜられ真珠湾攻撃に踏み切った山本五十六が、この学校を代表する卒業生だ。

第67回
豊多摩高校は、都内西郊の杉並区にある都立高校だ。周辺は典型的な住宅地で、サラリーマン家庭など中産階級の子弟が多い。自由でおおらかな校風を背景に、後年、文化人として活躍した卒業生が、多く巣立っている。

第66回
富山県北西部にあり、県下第2の都市・高岡市。加賀藩前田家の城下町として商工業が発展した。県立高岡高校は、富山市内にある富山高校、富山中部高校と共に、「富山御三家」に数えられ、全国に鳴り響く進学校になっている。

第65回
東京と千葉市のほぼ中間に位置し、人口64万人の千葉県船橋市。市内には公立の高校が二つある。県立船橋と船橋市立船橋だ。このため、略称は「県船」「市船(いちふな)」と、使い分けられている。今回紹介するのは、県立千葉、県立東葛飾とともに「県立御三家」に数えられる県立船橋高校の方だ。

第64回
大阪市天王寺区の上町台地には、聖徳太子が建立したという四天王寺がある。寺の境内の中に四天王寺高校がある。中高一貫の私立女子校だ。多くのオリンピアンを輩出する一方、大学医学部医学科への合格者が多いことでは全国屈指だ。

第63回
「杜(もり)の都」といわれる仙台。宮城県仙台第二高校の校地は、清流の広瀬川の右岸にある。仙台市内の一等地だ。男女共学化して15年。東北地方で随一の進学校になっており、今なお伸び盛りだ。
