猪熊建夫
第75回
NHKの大河ドラマ『どうする家康』。徳川家康生誕の地として知られるのが愛知県岡崎市だ。そこにある県立岡崎高校は、公立高校だけの東京大合格者ランキングで、全国トップを9回も記録している。地方都市にある公立高校の中では、飛び抜けた進学校だ。

第74回
小中高一貫の私立男子校だ。フランス系カトリックが設立母体で、旧制の暁星中学校は明治時代に開校した。都心の千代田区にあり、裕福な家庭の子弟が集まっている。語学重視の教育が徹底している。多くの芸能人が巣立っている。

第73回
九州の北西端に位置し、長崎県内で2番目の人口の佐世保市。明治以来、軍港として知られ、現在も米軍や自衛隊の基地がある。市内北部にある長崎県立佐世保北高校からは、独創性に富んだ卒業生を輩出している。

第72回
石川県金沢市にある名園・兼六園の、南方3キロの住宅地にある。男女共学だが、設立時は「女子のみ」だったので、現在でも「旧女子校」の名残がある。

第71回
戦前の東京で、公立としては最初にできた女学校だった。戦後の学制改革で都立白鴎高校(※「鴎」は、正しくは「メ」の部分が「品」)と改称、男子にも門戸を開いた。2005年度からは、附属中学を併設し、中高一貫教育になった。これも都立高校としては初めてのことだ。

第70回
徳川御三家の一つ、水戸藩35万石が居城とした水戸城旧本丸跡にあるのが、茨城県立水戸第一高校だ。高台の由緒ある校地という点で、全国で三指に入る伝統校だ。

第69回
中国山地の盆地にある人口約10万人の岡山県津山市。松平家津山藩10万石の居城だった津山城跡のすぐ北に岡山県立津山高校がある。江戸時代半ばから蘭学、洋学が盛んで、津山高校もその伝統を受け継ぎ、個性あふれる多くの人物を輩出している。

第68回
戊辰戦争と太平洋戦争で、街が壊滅してしまった新潟県長岡市。それにめげず、県立長岡高校は1872年創立の、全国でも指折りの歴史と伝統を誇る。米国との戦争は無謀と認識しつつ連合艦隊司令長官を命ぜられ真珠湾攻撃に踏み切った山本五十六が、この学校を代表する卒業生だ。

第67回
豊多摩高校は、都内西郊の杉並区にある都立高校だ。周辺は典型的な住宅地で、サラリーマン家庭など中産階級の子弟が多い。自由でおおらかな校風を背景に、後年、文化人として活躍した卒業生が、多く巣立っている。

第66回
富山県北西部にあり、県下第2の都市・高岡市。加賀藩前田家の城下町として商工業が発展した。県立高岡高校は、富山市内にある富山高校、富山中部高校と共に、「富山御三家」に数えられ、全国に鳴り響く進学校になっている。

第65回
東京と千葉市のほぼ中間に位置し、人口64万人の千葉県船橋市。市内には公立の高校が二つある。県立船橋と船橋市立船橋だ。このため、略称は「県船」「市船(いちふな)」と、使い分けられている。今回紹介するのは、県立千葉、県立東葛飾とともに「県立御三家」に数えられる県立船橋高校の方だ。

第64回
大阪市天王寺区の上町台地には、聖徳太子が建立したという四天王寺がある。寺の境内の中に四天王寺高校がある。中高一貫の私立女子校だ。多くのオリンピアンを輩出する一方、大学医学部医学科への合格者が多いことでは全国屈指だ。

第63回
「杜(もり)の都」といわれる仙台。宮城県仙台第二高校の校地は、清流の広瀬川の右岸にある。仙台市内の一等地だ。男女共学化して15年。東北地方で随一の進学校になっており、今なお伸び盛りだ。

第62回
高さ日本一の石垣に鎮座して、北に瀬戸内海を見はるかす丸亀城。京極氏6万石の丸亀藩が居城としていた。その、すぐ南にあるのが香川県立丸亀高校だ。多くの学者や文化人を輩出している。

第61回
「卬高(こうこう=高きを仰ぐ)」という格調高い校訓を持つ。秀峰富士を校窓から眺める県立静岡高校ならではの校訓だ。静岡県人はのんびり屋タイプが多いといわれるが、静岡高校の卒業生はそんな俗説を跳ね飛ばすかのように多方面で活躍している。

第60回
神戸市の北方約50kmの、兵庫県のほぼ中央に位置する西脇市。かつては播州織で全国に名をはせた。現在は県立西脇高校が、秀才兄弟や芸術家を輩出したことで知られる。

第59回
女子学院高校東京の都心・千代田区でキリスト教精神の私立中高一貫校として、150年余の校歴を刻んできた。横浜市のフェリス女学院高校と並び、日本最古の女学校だ。桜蔭、雙葉高校と共に東京の「女子御三家」に数えられる。

第58回
鹿児島市立の伝統校だ。中高一貫教育で、個性あふれる人材が巣立っている。運動場や芸術棟、理科実験室など施設がすこぶる充実しており、部活動が盛んだ。「経営の神様」と言われた稲盛和夫が、今年8月に死去した。90歳。まさに、「巨星墜(お)つ」だ。稲盛は、電子部品大手の京セラや第二電電(現KDDI)などを創業し、会社更生法の適用を申請した日本航空(JAL)を再建した。ベンチャー企業経営者の雄であり、日本の実業界のリーダーだった。

第57回
JR札幌駅の北3キロにある。北海道内で最初の公立女学校だった北海道庁立札幌高等女学校が前身だ。進路指導は手厚く、北海道大学への合格者数ではトップ校だ。日本航空の社長・赤坂祐二が札幌北高校の出身だ。東京大大学院工学系研究科航空学専攻を修了し、日航に技術系の生え抜き社員として入社した。高校時代から飛行機の勉強をしたかった、という。今でも趣味は飛行機のプラモデル作りだというから、徹底している。

第56回
小石川中等教育学校は、都心の文京区にある。都立小石川高校というのはすでに閉校し、2006年度から都立小石川中等教育学校という6年制の一貫校にリニューアルされている。「教養主義・理数重視」の伝統が、大正時代の開校時から連綿と引き継がれており、最近は大学合格実績も急伸している。
