プレゼンは「左目」を、
相談事は「右側」から

横田 ところで、まったく話は変わるんですが、前田さんの『社内プレゼンの資料作成術』 の中で、「決裁者の『左目』を見て話す」という項目がとても印象的でした。
 この法則も、孫さんへのプレゼンに使っていたんですか?

たった一言で「数億円」の経費を削減した<br />孫正義氏の「言葉力」とは?

前田 はい、使っていましたね。
 本の中でも述べているように、左目から入る情報は、直感やひらめき、ビジュアルを司る右脳に通じていくんです。
 だから左目を見て説得すると、その説得したい気持ちが決裁者にすごく伝わるんですね。
 それに僕の場合は、相手が孫さんでしたから、両方の目を見るとどうしても緊張してしまいます。
片方の目だけならば、なんとか直視できたという事情もあります(笑)。

――たしかに、片目だけならば緊張がやわらぎますね(笑)。

前田 ええ。一方で、相手を説得するのではなく、相談事のような内輪の話をする場合は、相手の「右側」から話しかけたほうがうまくコミュニケーションをとりやすいという心理学的な技術もあります。
 人間の心臓は左側にありますから、どうしても左側から近づかれると警戒してしまう。だけど、右側から近づくと、相手の心臓から遠い分、相手は安心するし、こちらの心臓に近い「左側」をさらけ出していますから信頼してもらいやすい
「会議」という公な場で話すときと、「ちょっとご相談が……」というときとでは、目線や立つ位置を使い分けるというのも1つのテクニックですね。

横田 おお、なるほど。これは、参考になりますね。

(第3回につづく)