1年を52週で捉えると
行動が加速する
1994年大手広告会社に入社。情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報戦略・企画の立案、実施を担当。主な著書は『考具』(CCCメディアハウス)、『発想法の使い方』(日経文庫)、ナビゲーション(編訳と使用法解説)を担当した書籍に『アイデア・バイブル』(ダイヤモンド社)がある。
加藤 そもそも夢が叶うとはどういうことなんでしょうね。目指したいゴールのイメージがあって、そこにいきつくために、いくつもの階段がある。手帳を使うことによってその階段を、自然に、それも軽々と登れるようになっていくということでしょうか。
和田 ええ、たしかにそういったユーザーさんの声も多数いただいています。
多くの人が、時間を有効活用して成果を出したいと思っていますよね?でも実際は、1週間、1ヵ月があっという間に過ぎ去ってしまい、「今月も何もできなかった!」などと焦燥感に駆られる……その繰り返しなんです。
加藤 そうならないための仕掛けって手帳にできるんですか?
和田 ええ。まず前提にあるのは、営業手帳は1年を12ヵ月ではなく、52週でカウントすること。営業活動に限らずどんな仕事でも、52週間の感覚はとても大事です。例えば、1年52週のうち「10月」というと年末まで“たっぷり丸3ヵ月”ある気がします。余裕すら感じますね。
けれど言い方を変えて「52週間の40週目」と表現すると、年末まで“たったの12週”しかない!って驚きませんか?「やばい、早く行動しないと今年が終わっちゃう!」と焦りを感じることに価値があるんです。手持ちの時間をより意識できると、人って動けるんです。だから日々の決断や行動を変えることができるのです。
加藤 たしかに、丸3ヵ月と12週じゃ、12週のほうがずいぶん短く感じますね。
和田 そうなんです。それと、1ヵ月単位で数字を追うと、どうしても月末にバタバタして、その反動で月初はゆるみがちになります。私が外資系の会社にいたときは1週間ごとの目標を立てるので、月初からスタートダッシュをかける習慣が根付きました。同僚たちは月初からさぼらず目標を追いかけて逆に月末に来月の準備をできるように意識してたのです。一般の営業マンが月末に焦ってお客さんを追いかけてしまうのとは違って、余裕がある分お客様目線になれて、無理強いしたり押し売りしたりせず、健全な営業活動ができていました。能動的に取り組む仕事と、追い立てられて受け身でやる仕事では、仕事の質が変わってきますよね。
加藤 なるほど~。
和田 先ほど、営業手帳は52週でカウントするのが前提と申し上げました。その上で、2つ仕掛けがあります。1つは、週の初めに「Weeklyのメッセージ」を届けること。そのメッセージを読むと、数字に追われる営業マンが毎週月曜日にリセットしエネルギーチャージできるようにしています。これは私が10年間営業活動をするなかで培ってきた、心を強くする言葉たちです。言葉で人って立ち上がれるんですよね。
加藤 週単位でモチベーションも変わると。その変化に寄り添う内容がメッセージにあるということですね。
和田 もう1つは、「水曜日の境界線」です。単に、水曜日と木曜日の間のラインが太く引かれているだけですが、「水曜日が終わったら週の後半戦だよ」と注意喚起する役目を担っています。