なぜ、夏場は、朝がうまいのか?

 つまり、葉野菜の場合、糖度だけ見ると、夕方が一番高いと言えます。
野菜の部位によって一番糖度がのる時間帯が変わってくるというのは面白いですね。

 ただ、野菜のおいしさは、甘みだけでなく、歯ごたえなどとも関係してきます。
 暑さが残る時間帯に収穫した葉野菜は、甘みがあったとしても、シャキシャキ感はなくなってしまいます。
 夏の時期は、その傾向が顕著に出てきますので、おいしさをトータルで考えると、夏場は朝、もしくは熱が抜ける夜中がいいことになります。

 そして、おいしさの中で大切なのが鮮度。
 糖度だけで見ると、トウモロコシや枝豆は、収穫してから2日経つと2度落ちるといわれています。

 葉野菜やトマト、ナスなどの糖度はそれほど変わりません。
 これは、その作物のデンプン質の量によって変わります。
 つまり、デンプンは時間とともに急速に失われていくのです。
 また、野菜は収穫後も呼吸しているので、収穫後の保存の温度帯によっても変わってきます(温度が低いと、呼吸量が減り、養分・糖分の消耗が少ない)。

置き方だけで、
トウモロコシの糖度が3倍違う!

 温度もですが、保管方法によって大きく変わるものもあります。
 枝豆はサヤのみで流通されるのが一般的ですが、枝つきだと、糖度そしてアミノ酸の減少はかなり遅くなります。

 また、トウモロコシであれば、水平に置くのと垂直で保管するとでは、糖度の減りが3倍違ってきます。

 つまり、置き方によっても糖度が変わってくるということです。
 総じて野菜は、収穫後も畑にある状態で保管しておいたほうが、鮮度が保たれます。
 まさに、収穫後も生きている証拠。わが風来でも、枝豆は枝つきにして、その意味も子どもたちに伝えるようにしています。

 まあ、こういったことが言えるのも、日本だからこそかもしれません。
 普通においしく食べられるだけでも本来は贅沢なことなのでしょうが、鮮度や味にこだわる国民性のおかげで、技術や知識が発達してきているのも確かです。

 せっかくこういった有益な情報がわかってきているので、提供する農家側も消費者サイドも知っておいて損はないでしょう。

 これからの農家はこういった情報を知っておくことがとても大切です。
 小さい農家で野菜を全国に直送しているところの強みは鮮度もありますが、こういったことを理解し、お客様に伝えることで価値がさらに上がるからです。