一流の人は謝る姿もスマートです

 「言い訳にすぎない」
 「謝罪に誠実さを感じられない」
 「謝ればすむと思っているのが気に入らない」

 上手に謝れないと、相手からこんなふうに思われてしまうことがあります。謝り方によって、相手からの「信頼」を瞬時に失ってしまうことがあるのです。

 一生懸命謝れば謝るほど、相手に誤解を与えてしまう。

 そんなやりきれない気持ちや不安を抱えていませんか?

 上手に「謝る」ことができるかどうかで、そのあとの相手との関係性が変ってきます。上手く「謝る」ことで相手に好印象をのこすことができれば、そのことがきっかけで、今まで以上にいい関係を築くこともできます。

 一流のリーダーは、「謝る」必要がある時を見極める達人です。

 むやみに「謝る」こともなければ、「謝る」べき時を見逃すこともありません。

「謝る」べきかどうか、その「境界線」を知っているのです。

一流のリーダーは安易に
「すみません」と言わない

 こんなエピソードがあります。

 私が、某外資系企業で働いていたときのことです。毎月第一週目の月曜日に、マネジメントの会議が開催されました。参加者は、外国人の役員、8名の部長、そして秘書の私でした。

 ある日、A部長がドアを開け、会議室に入ってきました。

A部長:「ソーリー、ソーリー(sorry, sorry)」

役員:「?」

A部長:「アイムソーリーソーリー(I am sorry, sorry)」

役員:「なぜ会議室に入ってくるなり、自分の非を認めているのだ? 何かあったのか?」

A部長:「いえ、会議の開始時間にすこし遅れてしまいましたので」

役員:「そんな簡単に、何度もソーリー(sorry)と言うものではない」

A部長:「はい」

役員:「ソーリー(sorry)というのは、自分に非があるときに使う表現だ。だから、そんなに気安く、繰り返し使ってはいけないよ」

 A部長は、腑に落ちないまま席に座り、会議が始まりました。

 さて、役員はA部長に何を伝えたかったのでしょうか。