マーケティングやマネジメントについて取材を重ねるうち、ヒット商品の共通点が見えることがある。今回は、最近急伸している「働く女性」向け市場をめぐる変化を追った。

ヒット商品の宝庫!
「家事の時短」マーケットの今

 世の中はいまだ「男女平等」のあり方を模索しているのかもしれない。「男女雇用機会均等法」が施行されたのは1986年のこと。以来、徐々に働く女性は増え、女性の経済力も高まった。しかし、家事の主人公はいまだ女性。スーパーの来客数の男女比など、単純なデータからも明らかだ。もちろん男性も家事を手伝おうとはするが、女性は「あなたがやるとヘタなの!」と感じることも多いらしい。筆者は男性で、かつ同様の体験があるため、世の女性たちに申し訳なく思う次第だ。

家事の「時短」新商品続々、トレンドは男性の調理参加男性でも子どもでも調理できる時短商品は大人気。ただし、単なる「時短」にとどまらず、プラスαの要素としてヘルシーさが加わることが、ヒットの条件なのだという

 そんな状況だからこそ、次第に「家事の時短グッズ」市場が形成された。たとえば、キユーピーの『具のソース』。玉葱とゆで卵がゴロゴロ入ったタルタルソースなど、ちょっと贅沢なソースだ。

 この贅沢なソースは、ある女性社員の着想から誕生したものだ。あるとき、この社員は主婦向けアンケートの中に「揚げ物は揚げるもの?買うもの?」という質問があり、主婦の過半数が「買うもの」と答えているのを見た。

 たしかに揚げ物には、油の処理やグリル周りの掃除など、面倒な作業が伴う。忙しい主婦は、できるなら揚げ物を買って済ませたいだろう。でも、何の工夫もなく皿に載せ、家族に出すのは気が引ける。だからこそ、見た目も味も豪華にいろどるソースがあったら…?

 果たして商品はヒットし、すぐに定番化した。

 また、静かな掃除機も売れた。家をキレイにしておきたいけど時間がない…。そんな人が夜中や早朝にも掃除ができるよう生まれた商品だ。

 筆者は、ヒット商品を生む法則があると考えている。「流行は時代とともにある」というものだ。「風が吹けば桶屋が儲かる」という法則のように「女性が社会進出を果たす→家事の時間が減る→家事を簡単にするグッズが売れる」ということが起きる。

 だが、時代の流れは止まることはない。こうしてできた「家事の時短」市場は、いま次の時代へと移りつつあるのだ。