山本電気の『クックマスター旬彩』。カレーやシチュー、野菜スープからジャムまでを作ってくれる

 2016年4月に発売され、大ヒットした商品がある。『クックマスター旬彩(しゅんさい)』だ。カットした野菜と水と調味料を入れておくと、自動で煮込んでくれる。温度は自動調節されるため吹きこぼれる心配はなく、機械がかき混ぜてくれるため焦げ付かない。発売直後、テレビでも話題となってすぐ品切れになり、3ヵ月後にようやく販売を再開した商品だ。

 販売元は、福島県に本社がある山本電気。商品企画課 南條和司氏が語る。

「外食は炭水化物や肉中心になりがちです。だから『家族にもっと野菜を摂ってほしい』と思っている方は多い。でも、現実的にはつくっている時間はない。だから『煮込みも全自動で』と考えたのです。調理にかかる時間は、20~30分。片付けやすさにも徹底的にこだわりました」

高くても売れる理由は
時短プラスα

 ところが、売れた背景はこれだけではなかった。筆者が東大病院医師にインタビューをして書いた記事にもあるように、食物繊維は野菜の栄養素のなかでも非常に重要で、『旬彩』はこれを摂れるよう徹底的に工夫した。

「野菜のポタージュを簡単につくれるようにしたのです。ピーマンのポタージュ、パプリカのポタージュ…もちろんコーンポタージュや枝豆、カボチャのポタージュもつくれます。缶入りのコーンや皮が付いたカボチャを、茹でて漉すのでなくカッターで粉々にし、滑らかにします。だから、皮の部分に豊富に含まれた食物繊維を捨てることなく食べられるのです」

 家電は「生活を変えてくれる」という期待感でヒットする。そしてこの商品は、ユーザーに『野菜を継続的に摂れる』『健康的な生活習慣を手にできる』と感じさせた。なお『クックマスター旬彩』は3万5000円前後と少々値段がはる。しかし、夫婦共働きの家族がターゲットだから「毎日使えるなら少し高くても」となりやすい。この市場を見つけ出したことは、彼らのマーケティング力の高さを伺わせる。

夫や子どもが作ってくれるように!女性からの喜びの声が寄せられる『キットオイシックス』

 さらには、有機野菜の宅配をするオイシックスが販売する『キットオイシックス』も、急速に売上を伸ばしたヒット商品だ。ごく簡単に言えば、野菜たっぷりの主菜・副菜を20分程度で調理できるキットが毎週届く。カットすると鮮度が落ちる野菜以外、肉も魚も下処理され、調味料、レシピまで同梱されている。同社・高島宏平社長が、売れた理由を話す。

「手軽でヘルシーを追求し、生まれた形ですが、利点はそれだけではありません。年間のべ600種以上の、シェフらが監修するレシピから選べるため『いちいちメニューを考える手間が省ける』という評価もいただいています。2013年7月から発売し、累積販売数は300万食(16年7月末時点)を超えました。現在も昨年比2倍以上の成長をし、我々の予想も超える勢いで急伸していますね」