経済力とメダル数の関係をグラフで理解するため、X軸に、GDP、Y軸に、五輪のメダル数を取った相関図を示した。単年次であると年毎の特殊事情が影響するので、リオ大会までの5大会の結果を掲げた。GDPの値は、こういう場合の通例として、為替レート換算でなく、通貨の強弱に左右されない購買力平価(PPP)換算の値を使っているので、為替レート換算の場合の米国、中国、日本、ドイツという順ではなく、中国、米国、インド、日本の順となっている点に留意が必要である(IMFによる2016年見込み値による)。

◆図3 オリンピックメダル数と経済規模との相関
(主要50カ国、2000~16年)

©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載  拡大画像表示

 主要国については、5大会の結果をそれぞれ線でつなげて表示したので、毎回のメダル数の起伏も理解できる図となっている。

 図からは、経済力に比例してメダル数が増える関係にあることが理解できるが、さらに経済力の割にメダル数が多い国と少ない国とがあることも読み取れる。世界の主要国が回帰傾向線の上にあるのに対し、日本は下に位置し、人口対比だけでなく経済力対比でもメダルが少ないことが分かる。

 経済力対比でメダルの少なさが特に目立っているのはインドである。インドの人口は中国と同じ13億人であるのにリオ大会のメダル数は2個であり、金メダルはゼロで銀と銅が各1個である。ちなみに殊勲の銀メダルを獲得したのは、バドミントン女子シングルス準決勝で日本の奥原希望を下したシンドゥ・プサルラ選手である。インドの極端に低い位置は経済状況が発展途上であることでは説明できない。肉体労働を差別するカースト制などの理由が挙げられるがスポーツと肉体労働とは異なるので、やはり、大いなる謎のままである。

 一方、経済規模の割にメダル数が多い点で目立っていたのは2004年までのロシアである。しかし、リオ大会の直前にロシアでは国がドーピングに関与していたことが発覚し、メダルの多さにも大きな疑惑が向けられる状況になった。リオ大会でも陸上競技選手のほとんどが出場停止となったこともありメダル数は56個と前回の82個から急減している。

メダル数獲得のために
非情なまでの決断ができるか

 オリンピック大会の自国開催がメダル数を増やす効果がある点はよく知られている。図でも見られるように、オーストラリアについては2000年のシドニー大会が、中国については2008年の北京大会が、英国については2012年ロンドン大会が、獲得メダル数の大きな増加に大きく寄与したことは明らかである。

 オリンピック大会の開催が決まるとオリンピック選手に対して集中的に強化資金が投じられるという要因がやはり無視できない。支援金は、メダルを取れそうな選手を特定し、その選手について、コーチを張り付け、強化施設の利用を容易とし、生計費も助けるという形で使われる。英国の場合は宝くじの資金が当てられた。