日本の農政、本当に目指すのはどこ?
そう、気づいた人は農に向かっている!
ただ、今、農業にあこがれている人の想いと農政にズレがあるのです。
今の農業政策は規模を拡大し、高級農産物の輸出などを目標とする経済優先となっています。
もちろん、農業が産業のひとつである以上、利益を出し、経済的自立ができることは大切なことですが、それだけであれば農林水産省が独立した省になっている必要はありません。経済産業省の下につけばいいのです。
日本では、農業保護政策で補助金に莫大な予算を使われているイメージがありますが、欧米でも同じくらいか、もっと保護政策を実施しています。
それは、アメリカもEUも農業政策は、食の安全保障を第一に考えているからです。
日本でも、もし農水省が独立していないとして、どこかの下につくとしたら、経済産業省の下ではなく防衛省の下ではないでしょうか。
命のもとである食を育てているのが農という意識を持つと、未来が見えてきます。
以前、TPPが発動されると、これまで以上に遺伝子組換作物が入ってくるということで、遺伝子組換作物について、私自身、意識調査をしたことがあります。
「経済視点」ではラストランナー、
「命の視点」ではトップランナー
その中で、かなり年配(80歳近く)の方にも話を伺う機会がありました。
遺伝子組換作物については、てっきり「わしゃ~年やし、何でもいいわ~」という答えが返ってくるかと思っていたのですが、返ってきたのは、
「わしゃ~年やし、先も短い。あと数年しかないし、変なもん食べたくないわ~~」
との答え。
これを聞いて、人はやはり本能的に長生きしたいのだと改めて思いました。
経済という視点で見ると最後尾かもしれない農業が、「命の視点」で見るとトップランナーに。
価値観が変わったときに振り返ればトップランナー……そんな「明後日の時代」がすぐそこまできているように思います。
夜明け前が一番暗いといいますが、今まさにそんな時期ではないかと。