「禁煙します?」「本数減った?」「買いだめしたの?」。10月のたばこ税増税以降、こんな質問に辟易している喫煙者は多いのではないだろうか。1箱あたり60~140円(日本たばこ産業)という過去最大の値上げにより、「これまで1000円で3箱買えたのに2箱しか買えなくなった」という声はよく聞く。実際のところ、値上げによって喫煙者の行動に変化はあったのだろうか。
過去最大の値上げでも伸びない禁煙率
「いっそ1000円に…」の声も
そもそも日本人男性の喫煙率は、ここ10年で大きく減少している。厚生労働省の調査(平成20年)の喫煙率は成人男性の平均で36.8%。平成10年の50.8%と比べると10ポイント以上の減少だ。これに対し、成人女性の喫煙率は10.9%(平成10年)から9.1%(平成20年)と、減少幅は少ない。
値上げ以降、さらなる減少はあったのだろうか。クロス・マーケティング(東京都中央区)の調査によれば、喫煙者227人(20~69歳男女)のうち、「今回の値上げを機に吸わなくなった」と答えたのは12.8%。また、アイシェア(東京都渋谷区)の調査では、喫煙者103人(20~40代男女)のうち、「値上げをきっかけに禁煙した」と答えたのは8.7%だった。
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「過去最大の値上げ」という響きの割に、高くはない禁煙率。アイシェアの調査では、「いっそ1000円にするなり、禁止にでもしてくれれば、さすがにやめると思う」という回答があったが、これに共感する喫煙者も多いのではないだろうか。
約半数「本数を減らし、以前と同じたばこ代で済むように」
「減煙」は「禁煙」の3倍以上
禁煙は辛いし、懐事情は厳しい……。そんな心理が垣間見えるのが、値上げ以降の減煙率。クロスマーケティング調べでは、有効回答数(198人)のうち47.5%が「(値上げ後)たばこの本数を減らし、以前と同じたばこ代で済むようにした」と回答。アイシェア調べでも、値上げ後に「減煙した」と答えたのは「禁煙した」と答えた人の3倍以上となる27.2%だった。
ちなみに、値上げをきっかけとした禁煙や減煙が続いているかどうかを聞いたところ、「成功者」は全体の86.5%(アイシェア調べ)。値上げによる経済的な負担増に加え、電子たばこや禁煙グッズ、禁煙セミナーなど、“禁煙ビジネス”が巷にあふれている。「煙草はなかなか止められないもの」というイメージは、過去のものになりつつあるのかもしれない。
(プレスラボ 小川たまか)