店舗面積はわずか1坪、売っている商品は羊羹ともなかの2品だけで、年商3億円をあげる和菓子店・小(お)ざさ。40年以上、1日限定150本の“幻の羊羹”を求めて、40年以上行列がとぎれない。

1969年からこの風景が続いているというから驚き

 12月3日に、78歳の稲垣篤子社長の処女作、『1坪の奇跡―40年以上行列がとぎれない 吉祥寺「小ざさ」味と仕事―』(ダイヤモンド社刊)が発売された。12月7日にアップされた前篇は非常に多くのアクセスがあったが、そこではなぜ2品だけに絞るのか、どうして売上拡大を追わないのか、経営に対する考え方を中心に聞いた。

 今回は、経営として変えてはいけないもの、変えてもいいもの、つまり不易と流行をどう考えているのか。そして、小ざさには、30人の従業員のうち3人の知的障がいのある従業員がいるが、その裏にはどんなエピソードがあったのか。小ざさ流の人づくりにもフォーカスしてみた。

稲垣社長:変えてはいけないものは、この小ざさの味です、絶対に。よりいいものを求めて、より深くやっていきます。

 変えてもいいものは、包装紙とか、売り方ですね。ただ、最近は変化が速いからといって、次々と切り替えるのではなくて、ずーっと待っていて、ここぞというときに切り替えます。変化に目を奪われて、そのつど、そのつど変えると、自分たちがどこにいるのか、わからなくなってしまいますから。