世界の金融市場は、リーマンショックに端を発する大不況の後遺症から、抜け出しつつある。株式市場の関係者や投資家たちは、足もとの状況をどう分析し、戦略を立てていけばよいのか。
今回、欧州の名門金融グループ、バンク・プリヴェ・エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・グループ傘下で、富裕層向けのプライベートバンキング、資産運用などに携わるロラン・ルクー氏とアレクサンドル・カリエ氏に、話を聞く機会を得た。
ロスチャイルドは、日本の日興コーディアル証券や三井住友銀行が販売する人気投資信託「SMBC・日興ニューワールド株式ファンド」を、三井住友アセットマネジメントと共に運用している。ルクー氏とカリエ氏は、同ファンドの主要投資対象となる株式型外国投資信託について運用責任者を務めている。
ターゲットは、不況をものともせずに急成長を続ける新興国において、今後需要が急拡大すると見られる産業分野に携わる企業たち。彼らは、株式市場の先行きをどう見据えているのか? 同ファンドの運用方針も交えながら、詳しく語ってもらおう。(聞き手/ダイヤモンド・マネー編集部、ダイヤモンド・オンライン編集部 撮影/和田佳久)
株式市場は徐々に回復基調に
先進国に比べて回復著しい新興国
Photo:Yoshihisa Wada
――現在の株式市場の動きを、どう見ているか?
株式市場には、投資家の信頼感が少しづつ戻ってきていると思う。世界の株式市場は6月頃から徐々に回復しており、VIX指数(恐怖指数)は夏頃から低下している。金融危機の後、債券へ向かっていた投資マネーが株式へと移ってきているようだ。
投資家が好感しているのは、コストカットだけでなく、売り上げ増によって業績回復を実現する企業が増えてきたこと。企業の好業績は、先進国を主体とした政府の支援策や金融緩和策によって、支えられている側面もある。現状は、株式ファンドの運用において、ポジティブなフェーズへ入りつつあると考えている。