戦後初となる本格的な政権交代を経てもなお、日本の政治は迷走を続けている。菅内閣の支持率は危険水域に落ち込み、足もとでは、内閣総辞職や衆議院解散・総選挙の可能性も囁かれている。2011年の政治はどう動くか? 自民党や民主党をはじめ、数多くの政党で政治改革の実務に携わり、政界再編の現場を目の当たりにして来た政治アナリストの伊藤惇夫氏が、民主党政権の行方と政界再編の可能性を鋭く斬る。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也、撮影/宇佐見利明)

内閣総辞職か、それとも衆院解散か――。
菅内閣の“山場”は年初から4月にかけて

――民主党政権が揺れている。菅内閣の支持率は、危険水域と言われる3割を大きく割り込んだ。このような状況を受け、政界では2011年早々にも政変が起きそうだと言われている。それが現実に起きるとすれば、どんなシナリオが考えられるか?

いとう・あつお/政治アナリスト。1948年生まれ。神奈川県出身。学習院大学卒業後、自由民主党本部事務局に勤務。自民党政治改革事務局主査補として、政治改革大綱の策定に携わる。その後、新進党を経て、太陽党、民政党、民主党で事務局長を歴任。「新党請負人」と呼ばれる。2002年政治アナリストとして独立。執筆やコメンテーターの世界で広く活躍。

 最も現実性が高いシナリオは、来年度の予算編成をきっかけとする「3月政変」か、統一地方選挙をきっかけとする「4月政変」だろう。

 民主党政権にとって最大の山場となるのは、来年度の予算編成を3月末までに成立させることができるか否かだ。来年1月から始まる通常国会で、「ねじれ現像」に苦しむ民主党が苦戦を強いられることは明白だ。

 社民党との協力体制を復活させたとしても、衆院で3分の2の議席を確保するのがやっとの状況。議員が1人でも欠ければ、参院で否決された法案を衆院で再可決することがままならなくなる。

 もし今年度内に予算を成立させることが困難になれば、暫定予算を組むしかなくなり、混乱は避けられない。また、本予算が通ったとしても、国債発行や税制改正などの関連法案が参院で否決されれば、やはり混乱が起きる。そうなった場合は、衆議院の解散・総選挙や内閣総辞職と引き換えに、予算や関連法案を通すしかなくなる。

 もう1つの山場は、4月に行なわれる統一地方選挙だ。民主党は地方選で惨敗を重ねており、先に行なわれた茨城県議選でも、現有議席を確保するのがやっとだった。このまま統一選に突入すれば、惨敗は必至だ。菅首相の責任問題が問われ、総辞職に追い込まれる可能性もある。