→答えは、国内で累計100万台を超えるロボット掃除機<br /> 「ルンバ」はどのようにして生まれたのか?拡大画像表示 です。

重ねる技術:
大きな問題を捉える

 掃除機メーカーは、吸引力を上げるために長らく改善を続けてきました。しかし、掃除機の性能を上げ続けることが正しいことなのでしょうか?

 現場担当者になると、技術的な制約や発売日など目先のことで頭がいっぱいになり、大きく物事を捉えることが難しくなってしまいます。しかし、だからこそ目的に立ち返ることがイノベーションにおいて大切なのです。

 日本人は改善が得意といわれますが、改善の先に「進歩」はあるものの、「進化」はありません。

 進歩と進化は別物なのです。

 もしも進化を求めるのであれば、答えを考える前に、問いを大きく持つことが大切です。捉える問題の大きさによって答えの大きさは決まります。吸引力を上げていきたいのか、それともより快適な生活をおくってもらいたいのか。あなたはどちらを選びますか?

企業の強み・思い:
掃除という退屈な行動から人類を解放しよう

 掃除機メーカーのなかで、iRobotだけが捉えた問題の大きさが違いました。掃除機の性能を上げることは手段にすぎず、次元の違う問題に向き合っていたのです。それは、「掃除という退屈な活動から人類を解放する」という大きな問題です。結果、掃除機の性能を追うのをやめたのです。

 

生活者の本音:
週末のおでかけプランを考える余裕なんてない

 忙しい共働きの夫婦にとって、毎日キレイに部屋を保つのは容易ではありません。ましてや夜に帰ってきて掃除機をかけたら、近所迷惑になってしまいます。だからといって、「掃除機が勝手に掃除をしてくれたらいいのに」という願いは、ルンバが登場する前は現実的ではありませんでした。その結果、週末にまとめて掃除機をかけたり、平日の夜は軽く床の拭き掃除をしたりするくらいしかできることはありませんでした。

重なりの発見:
勝手に掃除をしてくれるお掃除ロボット

「吸引力が強いかどうかより、そもそも掃除をしたくない」というのが生活者の本音ですよね。この本音に対してiRobotは、「掃除機の性能を上げる」のではなく「掃除をしなくてもよい」状態を提供したことで、まったく新しい需要をつくり出すことに成功したのです。

 


参考文献
・ルンバについて ホームページ