人材確保のカギは「辞めさせない仕組み」

この先、人手不足が深刻化していくとすれば、採用コストは上がる一方でしょう。アルバイトの定着率を上げることで、削減が期待できる採用コスト(求人広告費など)を試算してみました(下図)。

たとえば、1000店展開規模の飲食店で必要なスタッフ人数が20人だとします。年間定着率が5ポイント上がれば(年間離職率が5ポイント下がれば)1店舗あたり3~5万円、全体では年間3000~5000万円の削減が可能となります。店舗数1万店展開のコンビニ(必要スタッフを12人として)であれば、年間にして5億4000万~9億円のコストダウンです。

ただ、企業や職場にとって重荷となるのは、このような目に見えるコストだけではありません。当然ながら、スタッフが一人前になるまではなかなか時給分の働きは期待できないでしょうし、その人を教育するために、店長や周囲のパフォーマンスがある程度は犠牲になります。つまり、人を採用することによって、必ずそこには隠れた育成コストも発生しているわけです。

ちょっと厳しい言い方ですが、新人アルバイトが数ヵ月足らずで離職する状態が慢性化している職場は、「採用コスト・育成コスト」をまるまるドブに捨てているにも等しいのです。

アルバイト人材を安定的に確保するためには、人の育成をしっかりと行い、離職(とくに短期間での)を防止する「出口対策」が必要です。これにより、長期間にわたって働く人材が増えれば、自ずと職場のパフォーマンスも高まります。
アルバイト歴の浅い10人よりも、高いスキルを身につけた5人で職場がスムーズに回るのであれば、店長としても願ったり叶ったりなのではないでしょうか?