英国王室は、女性・女系の王位継承には全くこだわりがないのは言うまでもなく、実に約400人の王位継承権を持つ人がいる。王室は欧州の他の王室と政略結婚を繰り返しているため、オランダ王室など、他国の王室にまで英国王室の王位継承権を持つ人がいる。

 もちろん、女性・女系の王位継承を認め、貴族が脇を固め、他国の王室にまで継承権を持たせる英国と、日本では背景が違いすぎて参考にならないのは言うまでもない。それでも1つだけ指摘すれば、「王室の血統」とは、ありとあらゆる手段を使って維持に努めるものだということだ。それに比べて、保守派の方々の主張は、あまりに「伝統」にだけ拘っていて、本気で「皇室の血統」を守ることには、全くと言っていいほど拘りがないように見える。本当に皇室を守りたいか、非常に疑わしく思えてしまうのである。

保守派の主張が日本衰退につながる(2)
「家族」に拘るほど、少子化が進んでしまう

 保守派の主張が、実は日本を衰退に向かわせるものではないかという疑問は、皇室の問題に留まらない。例えば、保守派は「家族」に非常に拘っている。保守派の支持を受けた野党時代の自民党が作成した「自民党憲法改正草案」には、日本国憲法には存在しない「家族条項」と呼ばれる条文(第24条)が追加されている。

 保守派は、日本国憲法第24条の「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」という文言を「2人だけで決めて、親を排除しなさいと言っている」と主張し、「憲法24条によって、日本の家庭は崩壊の一途をたどり、家族の絆は失われつつある」と批判している。

 しかし、今の日本に、親から結婚を反対された時、「日本国憲法」を持ち出して駆け落ちを強行するような若者が存在しないことは誰でもわかる。家族の崩壊を憲法のせいだというのは、あまりに論理が飛躍している。日本の家族形態が多様化したのは、発展途上の段階から、高度成長に入る過程で、産業化・都市化が進み、価値観が多様化するというどこの国にも起こる、普通の変化が起こったに過ぎない。祖父母・夫婦・子どもが同居する「標準家族」が多数を占める社会に、国家が「価値観」を押し付けて戻すことなど、絶対に無理である(第122回・4p)。

 むしろ、家族形態・価値観の多様化という現実を積極的に認めたほうが、日本の「少子化」の克服、経済成長、社会の発展につながるのではないだろうか。例えば、欧米では「シングルマザー・シングルファザー」を認める社会にしたことで、むしろ出生率が上昇し、少子化の克服につながったという研究結果がある。