一方、いきなりエイズ例の感染経路では、MSMが250人、58.4%、そして異性間の性交渉による発症例は95人、22.2%と、異性間の性行為を感染経路とするケースの割合が増える。

 HIV/エイズの啓発活動を行っている男性は「同性愛・異性愛を問わず、その場の雰囲気に流されずにコンドームをつけてほしいということ、そしてセーファーセックスのために“定期的に”HIV検査を受けたほうがいいと思います」という。

ウイルス量を検出不能まで減らし感染防止
1日1回1錠の配合錠で早期治療を

 もう一つ、中高年層がHIV検査をためらうのは、HIV/エイズ=悲惨な死というイメージがあるからだ。

 1980年代、確かにHIV/エイズは発症後1~2年で命を落とす不治の病だった。しかし、21世紀に入り新薬が次々に開発され、HIV/エイズ患者の寿命は一気に伸びた。25歳の患者を例にすると、2000年以降の新しい治療を受けている場合、余命は40年近く伸びることがわかっている。

 2013年には複数の有効成分を1錠にまとめた1日1回1錠の「STR」が登場。飲みやすくなったことで、さらなる延命が期待できる。今、専門医の間では80年代には「想像すらしていなかった」HIV/エイズ患者の高齢化、という問題が浮上しているほどだ。

  HIV/エイズ治療の肝は、HIVウイルス量を検出不能なまでに減らすことで、陽性者でもほぼ100%、パートナーへの感染を防止できる点だ(もちろん、コンドームを装着すれば、感染率は限りなくゼロに近づく)。

 まさに「治療は予防なり」で、すべてのHIV感染者が治療を受ければ、理論上、エイズは撲滅される。実際、途上国ではHIV検査と治療の普及で新規HIV/エイズ患者が激減している。ところが、日本では2010年以降、毎年1500人前後の新規HIV/エイズ報告数があり、一向に減る気配がない。裏を返せば、いかにHIV検査を受けない人が多いか、ということだ。

HIV検査は陰性でラッキー
陽性でもラッキーと考えるべき

 HIV感染を未発症の陽性段階で知るか「いきなりエイズ」発症で知るかの差は、誇張でなく天国と地獄の差だ。エイズ発症後に生還しても、寝たきりになるケースは少なくない。

 一方、HIV陽性段階で治療を始めることができれば、普通の生活を送り、平均寿命近辺まで人生を全うすることができる。まして、発症までの期間、誰かに感染させている可能性を考えたら……。

 HIV/エイズは性感染症という面を持つ。人間が人間であるかぎり、避けようとしても避けきれないリスクの一つなのだ。自分とパートナー、家族の安心、安全のために一度はHIV検査を受けてみよう。陰性ならラッキー、陽性であればなおさらラッキーである。