積極的な社会貢献が
重視される時代  

 企業に求められる社会的価値に関して、昨今では、CSV(Creating Shared Value;共有価値の創造)という考え方が広まっています。これは、ハーバード大学のマイケル・ポーターが提唱したものです。

 CSR(Corporate Social Responsibility;企業の社会的責任)は古くより語られてきました。第1世代(1970年代~80年代中頃)のCSRは「公害を出さない」「不祥事を起こさない」といったマイナス面を避ける形での最低限の責任を果たす、いわば守りのCSRでした。

 これがバブル期を境に、本業以外で利益を社会に還元する動きに変わりました。第2世代(80年代中頃~90年代前半)のCSRであり、フィランソロピー(博愛主義、または慈善)であるとか、ボランティア活動の支援、社員による環境保護活動などが行われました。しかし、これはあくまでも本業以外の社会貢献であり、言うなれば付帯的CSRです。

 それに比べてCSVは攻めのCSRと言えるでしょう。ポーターは「戦略的CSR」という概念を提唱します。本業を通じて社会課題を解決する、本業そのものが社会貢献性を持つという考え方です。本業に邁進すればするほど、世の中に貢献できるということです。さらに加えて、自社の強みで社会課題を解決することで、自社の競争力の強化、持続的な成長につなげる、そうした差別化戦略をCSVと定義しました。

 このCSVこそが、世の中の潮流になりつつあります。

 こうした起業の新たな戦略展開は、第41回で著した「健康寿命を延ばすことにつながる社会人材の働き」にも通じる話ですし、上述した若者たちの気概にも通じる話なのです。

挑戦した困難なトレーニング経験が
その後、様々な形で社会貢献に役立つ

 こうした社会貢献をど真ん中に置く考え方は、若者のキャリア先進国にも現れ始めています。端的な例は、米国・アイビーリーグ(IVY League;アメリカの名門私立大学、ハーバード大学やイェール大学など8校から成る連盟)の学生の就職希望ランキングです。その上位には、名だたる多国籍企業を差し置いてNPOが上位にランクインしています。