仮にAさんに申告できる保険料控除などがあり、住民税の課税所得もゼロになったとすると、妻とともに「住民税非課税」になるので、翌年の介護保険料がぐっと安くなる可能性がある。国民健康保険料の所得割の部分もわずかに安くなるはずだ。

 年金生活者の確定申告といえば、たくさん医療がかかった年の医療費控除を受けるためと思いがちだが、そんなことはない。所得税が源泉徴収されている、もしくは住民税が課税になっているなら、確定申告をすれば税金や社会保険料の負担を減らすことができるのだ。所得税の源泉徴収の額が数千円だとしても、トータルで見ると確定申告に手間をかける価値はある。

 2011年に「公的年金が年400万円以下、かつ年金以外の所得が年20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要」という制度ができた(公的年金等に係る確定申告不要制度)。これを新聞か何かで読むと「年金生活者は確定申告をしなくていいんだな」と受け止めるかもしれないが、それでは国の思うつぼ。確定申告をしないと、国や自治体は税金を多く取ることができるのだ。「確定申告は義務ではないが、したいならしてもいい」のだから、年金生活者の親に申告を勧めよう。

 最後に私事で恐縮だが、私は2010年から年金生活者専用の家計簿『かんたん年金家計ノート』(講談社)を毎年、執筆・監修している。発売当初は年金生活者向けの家計簿が他になかったこともあり、年金生活者に使いやすい作りで、必要なお金の情報を提供できるよう、かなり頭を絞った。

 毎年この時期に独身時代にお世話になった友人の両親などにプレゼントすると喜ばれている。日々の記録をしっかりつけるために使っている人もいれば、記録はせずにお金の特集ページを参考にしてくれる人もいる。

 私が一番力を入れて作ったのは「お金歳時記」という毎月の収入や税金の支払いなどを記入する書き込みシートだ。年金収入は2ヵ月に1度である一方、税金や社会保険料の支払いは年4回であったり、年10回であったりするので、自営業のように「資金繰り」が必要となる。540円と手頃なので、両親にプレゼントしてはいかがだろうか。