もしも、あなたの息子や娘がこっそり有害サイトにアクセスして、犯罪に巻き込まれたら――。親の目が届きにくい携帯電話で、好き勝手にネット接続する子どもが激増している現在、子どもを持つ親は気が気ではないだろう。「青少年インターネット環境整備法」の施行から2年近くが経つものの、足もとで発表された公的機関のデータや親たちの声を聞く限り、子どもを保護する取り組みは十分と言えない。一方で、インターネットの負の側面ばかりを強調する言説に、懐疑的な人もいる。青少年を取り巻くネット環境の現状と、リスクに対応すべき社会や家庭の課題を追った。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

携帯でネット接続する子どもたち
もはや親の監視の目は届かない?

 もしも、あなたの息子や娘がこっそり有害サイトにアクセスしたり、それが原因で犯罪に巻き込まれたりしたら――。

 こう問われれば、子どもを持つ多くの親は不安を覚えるだろう。「仕事が忙しくて、そんなことは考えてみたこともなかった」というビジネスマンも多いかもしれないが、子どもを取り巻くインターネット環境は、あなたの想像を越えるスピードで変化している。

 その象徴的なトレンドが、携帯電話を利用してインターネットに接続する子どもたちが多いということだ。

 実際、今月発表された内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2010年度)によると、調査対象の高校生のうち96.5%が、携帯電話でインターネットを利用していることがわかった。