宮本 私は営業でマネジャーになって、時には怒らなきゃいけないこともあるけど、嫌われるのが怖い。そんなふうに悩んでいるときに、『嫌われる勇気』というタイトルを見て一目ぼれしました。

岸見 そもそも、嫌われている人はこの本を読みません。明らかに周りから好かれている人だからこそ、難しい立場になったときに迷ってこの本を手に取られるのだと思います。

宮本岡沢鈴村 確かに!

宮本 内容は分かりやすかったんですが、でも書いてあることをすぐできるかというと、できないこともあったり、「過去は関係ない」と言われても、引きずってしまうこともあったり。でも私は、一つの考え方の参考として、なんかつらいなと思ったときに読み返すようにしています。

岸見 この本を読んで何か抵抗を感じたとすれば、それは内容を正しく理解しているということです。従来(の常識)とはずいぶん違ったことが書かれていますから。男性たちはこの本を読んだときに、よくこう言うのです。「前から知ってた」「当たり前のことしか書いてない」。でも実践できている人がどのくらいいるか疑問ですね。

鈴村 私は入社2年目なんですけど、自分のいまの在り方が正しいのかとか、2年目にふさわしい姿にならないといけないのかなと悩んでいたときにこの本を読みました。もしかしたら、自分は何かを言い訳にして逃げているのかもしれない。でも考え方次第でこんなに行動を変えられるんだ、ということに気付きました。

岸見 行動は変えられます。まず、自分の行動について理解することが大切です。きっと以前は「逃げている」ということすら意識していなかったでしょう。「逃げている」と意識できたときに、すでに変われているのです。

 実はこの本には、「正解」が書かれていません。なぜかというと、自分という人間はただ一人であり誰とも同じではない。ですから、同じことを実践すればみんなが幸せになれるかというとそうではありません。「自分だったらどうするだろうか」と常に考えていかないといけない。安直に答えを求めないことが大事です。