これは、怒りという感情は伝達手段の一つとなりえるということを示しています。怒りを言葉に乗せることによって、より強いインパクトを相手に与えようとしたり、怒りを表すことで自分の思い通りに相手を動かそうとしたりするのです。

 「穏やかな話し方では、相手は自分の気持ちを理解してくれないかもしれない」という強迫観念のような思いが、とんでもない強い言葉を生み出す原動力となります。それが効果を上げる場合もあり、結果として本人にとって成功体験となってしまうこともあります。成功体験は再現させるモチベーションにもなり、何度も同じように怒りによって相手をコントロールしようとします。

 とはいえ、その成功体験は決して誰かを幸せにする類のものではありません。怒りは伝播して他の誰かを傷つけるかもしれません。また、怒っている本人も怒られている相手も、その怒りをコントロールできない場合に、取り返しのつかない行動にまで発展してしまうリスクもあります。このあたりの内容はまた詳しく解説していきますので、楽しみにしていてください。

●特徴その3:怒りは病気ではない

 読者の皆様の中には、信じられないと思われる人もいるかもしれませんが、「自分はこんなに怒りっぽくて、もしかしたら病気なのではないか?」と本気で心配する人がいます。

 それくらい、怒りの感情は強いものであり、場合によっては心を蝕むものではあります。ただ、怒りの感情は前述したとおり、人間にもともと備わっているものであり、なくせるものでもなくす必要があるものでもないのです。

 「怒りの感情は病気ではない」というのは、米国の医師学会でも公式に認められている事実だそうです。怒りを感じることそのものは、決して病気ではないのですが、怒りをあまりにも抱えすぎることで、別の疾患を誘発するというレポートも数多く存在します。

 怒りは人生の問題そのもの。そして、この連載を読んでいる数多くのビジネスパーソンのキャリアにも大きく影響を与えるものです。怒りを正しく理解することによって、より充実したキャリアの構築に活かしていただきたいと思っています。

「問題となる怒り」の特徴

 前項までに「怒ることは自然なことである」とお伝えしましたが、怒りが抱える問題点も当然あります。日本アンガーマネジメント協会では、問題となる怒りを以下の4つにカテゴライズしています。

 ・強度が高い
 ・持続性がある
 ・頻度が高い
 ・攻撃性がある

 なんとなく、それぞれの項目ごとに思い浮かぶ顔があったり、過去の記憶と繋がったりした人もいるのではないでしょうか?それぞれを説明します。