インターネット社会は
タコツボ現象を引き起こす

 現代は現実のリアル社会とインターネット社会という、二層の社会構造を持っています。インターネット社会では現実社会(リアルな社会)に比べてより一層の言論の自由度が高いのはご存じのとおりです。

 つまり「Post-truth」をさらに煽るのが、言論の自由度が高く、攻撃的で匿名性の高いインターネット社会であるわけです。

 リアルな社会で一般の人たちに訴えたいと思うとき、手っ取り早く伝えるにはマスコミの力を借りなくてはなりません。そこにはある種のチェック機能が存在しています。しかし、インターネット社会ではチェック機能は基本的には存在しません。受け手が認知的不協和的に、自分の気に入った情報のみを取捨選択しようと思えば簡単にできてしまいます。

 さらに、米国の大統領選挙でも、英国のEU脱退投票でも、バックファイア効果と呼ばれる現象が起きたと考えられます。

 バックファイア効果とは、人は自分の意見に挑戦的な意見や情報が現れると、むしろ、より一層強く自分の意見に固執しようとする現象です。

 普通に考えると、自分が信じるものを否定する情報を突き付けられると、自分の考えを中立的に修正するはずなのですが、むしろその逆に動くわけです。このバックファイア効果をさらに強める存在が、SNSです。

 facebookを見ていると、「何だか自分と似たような意見の人が多いなあ」「似たような嗜好性の人が多いなあ」と感じるのも、それがあなたの友だちが作り上げている社会だからです。このように、一見開かれているようで、実は仲間内だけの狭い世界に閉じこもっているタコツボ状態によって、人はいとも簡単に自らの偏見を正当化し、強化することが可能になるわけです。

 こういう時代だからこそ、リアルな社会で人と触れ合う機会をできるだけ多く持つ必要があります。そうすることで自身の視野が広げることができ、仕事選びも生き方選びも、自分にとってプラスになるからです。

 2017年、世界では保護主義的に「閉じる」ことが主流になりそうな予感がします。だからこそ、意図して「開く」ことを大切にしなくてはならないと感じています。

 政治や社会ではむしろ退歩が懸念されるなか、技術だけは暴走に近いくらいの進化を続けています。今まで夢物語だったようなことが次々に実現しつつあります。自動車の自動運転は、100年前から言われ続けていたものの、まだまだ先のことかと思っていたら、近年急速に現実味を帯びてきました。