ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
データサイエンティストの冒険

地域課題解決のアイデアコンテストを起点とした
イノベーション創出型人材の育成

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第19回】 2017年2月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
previous page
2
nextpage

なぜアクセンチュアが
取り組まなければならないのか?

 とはいえ、われわれのようなコンサルティング会社がなぜ、地方行政への市民参加を支援する取り組みに積極的なのか疑問を持たれる読者もいるかも知れません。

 前回のコラムでも触れましたが、アクセンチュアの日本での社会貢献活動は、5つのテーマを設けているのですが、そのひとつに、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering 」(工学)、「Mathematics」(数学)を統合的に学ぶ機会を提供する「イノベーション創出型のSTEM人材の育成」があります。

 これまで、この取り組みでは、小学校で実施したロボティクス授業や、大学でのデータサイエンティスト講座の提供、高校生、高専生、大・大学院生を対象とした「データビジネス創造コンテスト」(DIG)の開催支援などを通じて、STEM人材の育成に力を注いできました。

 なぜなら、コンピュータテクノロジーやAI(人工知能)、ロボット工学の分野で、今後世界を大きく変えるイノベーションは、STEM人材によって起こされると考えているからです。

 もちろん、政治や行政の世界もSTEM人材と無縁ではありません。

 もし、データやテクノロジーの扱いに長け、科学や事実に基づいて課題解決にあたった経験を持つ人々が、条例の立案に関与する機会が増えれば、自治体が繰り出す施策の質が向上し、地域住民の満足度を上げることに貢献するでしょう。

 だからこそ、われわれは、課題意識を持った学生/市民と、「オープンガバナンス」(開かれた自治)や「シビックテック」(テクノロジーを活用した行政への市民参加)に関心が高い自治体をつなげる機会を提供し、STEM教育の裾野を拡げようとしているのです。

 われわれは「COG」を、STEM教育を広く社会に知らしめるための、ひとつのきっかけにしたいと考えています。

 少子高齢化に加え、多様化、複雑化する社会において、自治体が抱えている課題解決の責務を公務員や議員だけに負わせるのは時代遅れです。地域社会全体で課題を受け止め、解決策を考えようとする時、STEM人材が果たすべき役割は大きいというのが、われわれの見解です。

次のページ>> 次の展開は世界へ
previous page
2
nextpage
IT&ビジネス
クチコミ・コメント

facebookもチェック

工藤卓哉
[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence グローバル統括 兼
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス マネジング・ディレクター
ARISE analytics Chief Science Officer (CSO)

慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年11月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


データサイエンティストの冒険

近年テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

「データサイエンティストの冒険」

⇒バックナンバー一覧