SFに学ぶ「創られた神」との付き合い方

 本業がテクニカルライターだと言う、寡作のSF作家 テッド・チャンが2000年に発表した『人類科学の進化(The Evolution of Human Science)』は、たった4頁半の小品です。

 そこには、圧倒的な知力を持つ超人類を生んでしまった人類の物語が、科学者の立場から描かれています。

 遺伝子操作によって生まれた超人類は、新しい言語を開発し、それで思考しコミュニケーションします。その研究成果が発表されても、人類はそれを理解どころか読みこなすことすら困難です。そこで、人類は単独での独創的研究を諦めますが、2つの領域での科学探究を頑張ります。

・超人類「文献」解釈学:新言語で書かれた文献の翻訳を試みる
超人類「製品」解釈学:つくられた製品の解析(リバースエンジニアリング)によってその動作原理や未知の物理法則を解き明かす

 アルファ碁は自らの戦い方について論じてくれないので、当面できることは後者のみ。これからの数年、プロ棋士たちはアルファ碁の残した棋譜を解析し、そこに潜む囲碁の真理を解き明かしていくでしょう。

 それによってアルファ碁に一矢報いることもあるかもしれません。そしていつか、アルファ碁とその真理について語り合う日が来るのかも。もしアルファ碁がそうしたいと思ってくれればの話ですが。

 さて「最初のシンギュラリティをどう生むか」についてはいよいよ次回。J・P・ホーガンのSF『未来の二つの顔』、山本弘の『アイの物語』を取り上げます。

 参考情報・サイト
・「コンピュータ囲碁」Wikipedia
・「第30話 かんぱいモンテカルロ」王銘エン(メイエン事件簿 2008.09.08)※エンは「王」へんに「宛」
・「コンピュータ囲碁について、王銘エンの危惧」福地 健太郎(2008.9.8)
・「プロ棋士はもはや囲碁AIに勝てない 進化型アルファ碁「Master」の衝撃」(J-CASTニュース 2017.01.06)
・「Googleの囲碁ソフトがプロ棋士に初勝利」たろちん(ねとらぼ 2016.01.28)
・「AlphaGo の論文をざっくり紹介」(technocrat 2016.03.14)
・「Masterの正体」大橋拓文(ひろふみのブログ☆ 2017.01.08)
・『あなたの人生の物語』テッド・チャン(早川書房) 

(K.I.T.虎ノ門大学院主任教授 三谷宏治)

お知らせ

 1/22(日)はなんと1日で3つの講演・研修となりました。

・10:00~ どんぽぽ(親向け)@千葉・船橋
・14:20~ MBA4校合同説明会@KIT虎ノ門大学院
・18:00~ Globis講義@新大阪

 千葉、虎ノ門、大阪の強行軍ですがガンバリます~。大雪とかになりませんように……。お時間ある方は「MBA4校合同説明会@KIT虎ノ門大学院」に是非お立ち寄りください。虎ノ門ヒルズのお隣です。

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