カプコン社長  辻本春弘 主要ソフトの一つ、「バイオハザード4」の売り上げが好調だったため、販売計画を上方修正した。それでも通期の見通しを据え置いたのは、世界的な景気悪化に楽観はできないと考えたからだ。

 ただし、過度な悲観もしていない。当社のような家庭用ゲームの場合、景気によるダメージは大きくないと考えている。というのも、ゲームソフトそのものはさほど高価ではないうえ、「モンスターハンター」や「バイオハザード」といった主要ソフトには、コアユーザーがついているからだ。

 もっとも、カードゲームなどのようなカジュアルゲームは、景気が悪くなるとユーザーの財布の紐がきつくなったり、他の娯楽に目移りする可能性もある。ゲーム業界は今後、二極化するだろう。

 (ゲーム業界では、コーエーとテクモが統合協議に入るなど再編が話題になったが)再編そのものはさらに進んでもおかしくない。海外に活路を見出すとなると、開発力や販売力を強化するためのM&Aは有力な選択肢となる。

 カプコンはかねて海外展開を積極的に進めてきた。当初は代理店任せだった販売も、自販体制を整えた。「バイオハザード4」を上方修正したのも、販売力の成果だ。海外販社の買収も、視野には入っている。

 最近、「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略の一環として、パチンコ機器メーカーを買収した。開発したソフトをさまざまなメディアに応用していく戦略だ。パチンコなど他産業でもカプコンの成長の余地がある。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 大坪稚子)