サブシナリオは2つある。サブシナリオ1は、トランプ大統領の財政政策が公約に近い形で実現する「いけいけケース」。

 トランプ財政政策の約7割が実現すると仮定している。実際の政策は議会での審議を経て、夏ごろから秋にかけて決まっていくが、民間の期待が先行して高まるため、今年後半から成長率が3%を優に超え、18年には4%近くまで上昇していく。これに伴いFRBの利上げペースは、年4回程度へと加速してドル高が進むが、米国内がブーム的様相を呈するため、トランプ大統領の対外強硬姿勢は封印されるだろう。

 サブシナリオ2は、1とは反対の「停滞ケース」。議会で共和党との調整に失敗し、トランプ大統領の政策が実現せず、景気も上向いてこない。そうなると対外強硬策によって国民の目を外にそらすのが、為政者の常。関税の引き上げなど保護主義政策が発動され、相手国の報復を招き、米国の輸出入が減少する。

 実は、この20~30年にわたるグローバリゼーションの進展によって、米国の輸出依存度も高まっている。GDPに占める輸出の割合は、1970年代のひと桁台後半から、現在では15%近くにまで高まっている。米国1国だけで、豊かさを維持できる時代ではないのだ。保護主義台頭のサブシナリオ2では、成長率は1%台に落ち込む。

◆図表2 各シナリオのイメージ

山高ければ谷深し
ブームの後の反動は大きい

 問題はさらにその先の将来にある。米国経済は長期の景気回復過程にあり、景気循環的にはピークを迎えつつある。トランプノミクスで景気を吹かしても、19年には下を向く可能性がある。その場合でも「そこそこ実現ケース」なら、景気の山がそれほど高くない分、「大きなリセッション(景気後退)にはならない」(山田部長)。世界経済にとっても好ましいシナリオだ。