医師は人の命を預かり、
キャリアコンサルタントは人生を預かる

 医師になるには主に6年制の大学医学部を卒業し、医師国家試験に合格すること(さらに研修医としての研鑽を積んだ上で専門医資格を取ることが多い)が必要です。

 なぜ、このように厳格な資格取得過程が設けられているのでしょうか。それは、ひとえに医師の行う医療行為(治療など)が人間にとって最も大切な命に関わる仕事だからです。命に関わるような重要な仕事に携わるものは、国が責任を持ってその知識レベル、技能レベル、人間性を含む職業適性を保証しようとするわけです。

「人間の命に関わる重大な仕事」「高度な専門知識・技術を必要とする仕事」「高い倫理観を必要とする仕事」だから国家の保証が必要になるのです。そして、その見返りとして名称や職業そのものの独占が許され、場合によっては法定標準報酬のように、ある程度収入が保証される仕組みがあるのです。

 この観点から、キャリアコンサルタントを考えてみました。まず、キャリアコンサルタントが扱うものの重要性を考えてみます。キャリアコンサルタントが扱うのは、“ヒトのキャリア=人生”です。これは命と同様、大変重要性が高いといえます。

 知識・技術、倫理観も同様に求められます。この観点から、キャリアコンサルタント資格が国家によって保証されることには合理性があるといえます。

 収入保証に関しては定かではありませんが、名称の独占的使用は認められており、有象無象の無定見な市場参入により、市場が荒れることは防げるでしょう。

プロフェッショナルの尽くす
最善は生半可なものではいけない

 さて、これで「万歳、良かった」と終わるわけではないのが国家資格です。当然ながら、成果が強く求められます。

 ここでもまた、医師の成果を例に挙げてみましょう。医師の成果とは何でしょうか。

「病気を治すこと」と考えるのはいささか早計です。医師が病気を治すわけではありません。これほどまでに医学が発達した現代においても、病気を治すのはあくまでも患者自身です。医師は医学の力を駆使して、患者が自らの心身上の問題を解決することを支援するわけです。

 その結果、患者自身が納得のいく解決に至った時に、医師の成果が上がったと考えるのです。加えて、医師の成果にはもう一つあることがわかります。それは、患者の心身上の課題発生を未然に防ぐことを支援し、それを予防することです。この2つを医師の成果と考えることはできないでしょうか。